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これからは腸活だけでなく口活!?「口腔ケア」から始める、風邪に負けない健康習慣

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口腔ケアをしている女性

今年は例年よりも早く、風邪など感染症の流行が本格化しているようです。集団感染による学級閉鎖といったニュースも、耳にする機会が増えました。いくら気をつけていても、家族など身近な人から持ち込まれてしまう細菌やウイルス。この時季はとくに、免疫力アップを意識した生活を心がけている人も多いはず。免疫と言えば腸内環境、という考えは一般に認知されていますが、じつは口の中の環境を整えることも、健康な体作りのためにとても重要であることが、多くの研究から明らかになってきました。腸内環境と口腔環境はどのように関係しているのか、歯科医師の会田光一先生に解説していただきます。

監修 : 会田 光一

歯科医師。東京医科歯科大学歯学部卒業。医療法人社団癒合会を運営。東京・品川の高輪クリニック理事長。口腔内の健康から全身の健康へとつなげるために、WEB情報メディア「カムシル」を立ち上げ、医療現場から最新の情報を提供。普段から健康のためにできることを、わかりやすく解説している。歯科医師会田の噛み合わせメディア-カムシル(camusiru.com) 

Contents 目次

じつは、口腔環境と腸内環境は大きく関係していた!

歯を磨く女性と腸内

免疫力と言えば腸。その腸と口腔はどのような関係があるのでしょうか。
「腸内と同じように、口腔内にも多くの細菌が棲み着いています。歯の磨き残しや虫歯、歯周病などで、口の中に悪玉菌が増えて環境が悪くなると、腸内環境にまで悪影響を及ぼすことが、最近の研究によってわかってきました。これまでも、歯周病の原因菌が歯茎の血管から体内に入り、認知症の発症を高めるなど、さまざまな健康被害を招く要因となっていることは、広く伝えられています。しかし、口腔内の細菌の中には、唾液と一緒に飲み込まれた後、胃液や胆汁酸などのバリアをくぐり抜けて腸までたどり着き、腸内に定着するものもいるのです。とくに歯周病の原因菌の1つであるPg菌(ポルフィロモナス・ジンバリス)は、腸内に最も悪影響を及ぼすインフルエンサーともいえる菌。Pg菌自体が増えるのではなく、腸内の悪玉菌を増やす働きがあり、腸内フローラ(細菌叢)のバランスを乱して、免疫機能を狂わせます」(会田先生)

このように、口腔内の悪玉菌が腸内でも悪さをすることで、感染症の重症化リスクを高めることにもつながってしまうのです。

「もちろん、腸内でも菌の縄張り争いが起きていますから、腸内が健康にとって望ましい環境であれば、口から入って来る悪玉菌に打ち勝つ場合もあります。腸内、口腔内の両方を、悪玉菌の棲み着きにくい環境にしておくことが、大切なのです」

あなたは大丈夫? 口腔内の健康度をチェック!

まずは簡単なチェックで、お口の健康状態を診断してみましょう。
次の項目に1つでも当てはまれば、口腔内の細菌バランスが乱れている可能性大! 後で紹介する口腔ケアを実践してみてください。

□ 口臭が気になる
□ 口呼吸をしがち
□ 口の中がねばついている
□ 歯と歯の間に食べ物が詰まる
□ 虫歯や歯周病をそのままにしている
□ 歯ブラシをすると歯茎から血が出る
□ 歯がぐらついている
□ 舌の上が白っぽい
□ 喫煙している

体を守ってくれている大切な「唾液」にも注目

「口腔内の健康チェックで、もう1つ注意したいのが、唾液の量です。唾液には、食べ物を飲み込みやすくして消化を助けるだけでなく、次のような重要な働きがあります」

・口腔内の粘膜を保護する
・食べかすや、菌、ウイルスを洗い流して、口腔内を清潔に保つ
・口腔内が酸性に傾かないよう、中性に保つ
・溶けた歯の再石灰化を促す

「加齢や更年期によるホルモンバランスの乱れ、ストレスによる緊張、薬の副作用といったさまざまな要因から、唾液の分泌量は減少します。食べ物をよくかんで、舌や口の周りの筋肉を鍛える、しっかり睡眠をとって自律神経を整えるといったことを、日頃から意識することも大切です」

唾液の中に、抗菌・抗ウイルス成分が!

さらに、唾液の中に多く含まれるIgA抗体という物質には、抗菌・抗ウイルス作用があるということで、注目を集めています。最近の研究では、ヨーグルトを食べると唾液中のIgA抗体が増えるというデータも。

グラフ
出典/Acta Odontologica Scand. 2019 May 161-8.

神奈川歯科大学が行った研究によると、特定の乳酸菌を使用したヨーグルトを摂取した群は、対照となるヨーグルトを摂取した群と比較して、インフルエンザA(H3N2)亜型のウイルスに反応するIgA抗体が有意に増えたことがわかりました。
単にIgA抗体が増えただけではなく、増えた抗体がインフルエンザウイルスに対抗する力をもつものであったことが、確認できたのです。

朝から晩まで口腔環境を整える! 今日からできるセルフケア

朝から晩まで口腔環境を整える

お口の中を清潔に保ち、唾液をしっかり出すことが、腸内環境も口腔環境も整える第一歩。
食事の後は、歯ブラシ+デンタルフロスや歯間ブラシで、プラークまでしっかり除去するのが基本です。
それに加えて、今日から簡単にできる、朝昼晩の口腔内セルフケアについて、会田先生が教えてくれました。

(朝)
・起床後すぐにうがい、舌みがきをする。菌の住み処となっている舌は、専用ブラシでやさしくお手入れをしましょう。

(昼)
・歯みがきをする時間がどうしてもないときは、洗口剤などを使って口をすすぐことだけでも行いましょう。

(夜)
就寝時は、専用のテープを口に貼る。市販品で「口閉じテープ」というものがあります。鼻呼吸に導き、口腔内の乾燥を防ぐ効果があります。

口腔ケアと腸内環境ケア、どちらも継続することが大事

菌やウイルスに負けない体を作るためには、口腔と腸のケアをダブルで続けることが重要だとわかりました。口腔内は朝昼場の毎日のセルフケアで清潔に、腸内ケアは腸内フローラのバランスを保つために、ヨーグルトなどの乳酸菌食品を毎日積極的にとること。ダブルのケアを日々の習慣にすることで、風邪に負けない体を作っていきましょう!

イラスト/徳丸ゆう
取材・文/田所佐月

 

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