超加工食品─。耳慣れない呼び名かもしれませんが、これは飲食物を栄養や動物性、植物性ではなく、加工度によって分類した際にもっとも加工が進んだ食品群を指します。食べ過ぎると健康に悪影響を与える可能性があるとして注目されていますが、このたび、この超加工食品に分類される食品は、30以上もの健康問題に関連するという報告がありました。
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2009年に提唱された食
「超加工食品」という名称は、2009年にブラジル・サンパウロ大学の研究者たちが提唱した「NOVA」という食品分類法によるものです。加工の程度や目的によって食品を「未加工または加工が最小限の食品」、「加工された調理用成分」、「加工食品」、「超加工食品」の4つに分けています。具体的に超加工食品とは、スナックやソフトドリンク、甘いシリアル、温めてすぐに食べられるインスタント食品などが当てはまります。ほとんどが着色料や乳化剤、香味料などの添加物を含み、脂肪や塩分、加糖が多いわりに栄養や食物繊維は少ない傾向があり、日本を含む多くの国の研究や、それらをまとめて分析した研究(メタアナリシスと呼ばれる)において超加工食品の摂取が健康問題につながるという結果が出ています。
そこで今回オーストラリアや米国などからの国際的な研究グループは、これまでのメタアナリシスを集めて、さらにまとめてその健康への影響を分析してみました。対象となったのは14件のメタアナリシス(合計参加者数1000万人近くの研究45件)。各研究については「信ぴょう性が高い」から「根拠がない」までの5段階で根拠の確かさを検討し、根拠の品質を「高い」から「非常に低い」までの4段階で評価しています。
超加工食品が健康に与える影響は…?
この研究で確認されたのが、超加工食品を多くとると、がんをはじめ、重大な心臓や肺の病気、代謝性の病気、精神疾患、死亡など、ほぼ体全体にわたる32の健康に対する有害リスクが上がることです。たとえば、信ぴょう性の高い根拠がある結果については、心臓や血管の病気に関連した死亡がおよそ50%、不安障害や一般的な精神障害が48〜53%、糖尿病が12%と、それぞれリスクが上がりました。
また、根拠の確実性が2番目に高いカテゴリーでは、すべての死因による死亡のリスクが21%高くなり、心臓病関連の死亡、肥満、糖尿病、睡眠障害のリスクが40〜66%、うつ病のリスクが22%高くなりました。ただ、ぜん息や消化器系の健康、血液中の脂質や善玉コレステロールなど心臓・血管の病気に影響する要素との関連性についての根拠は限定的でした。
研究グループでは、食品のラベル表記や宣伝広告などに関する規制も必要ではないかと提言しています。食べものを選ぶときには気をつけておくとよさそうです。
<参考文献>
Consistent evidence links ultra-processed food to over 30 damaging health outcomes
https://www.bmj.com/company/newsroom/consistent-evidence-links-ultra-processed-food-to-over-30-damaging-health-outcomes/
Lane M M, Gamage E, Du S, Ashtree D N, McGuinness A J, Gauci S et al. Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses BMJ 2024; 384 :e077310 doi:10.1136/bmj-2023-077310
https://www.bmj.com/content/384/bmj-2023-077310
Monteiro C A, MartÃnez-Steele E, Cannon G. Reasons to avoid ultra-processed foods BMJ 2024; 384 :q439 doi:10.1136/bmj.q439
https://www.bmj.com/content/384/bmj.q439