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胃の不調を訴える人が急増中! 長引く場合は「機能性ディスペプシア」かも。 どんな病気? 症状や改善法を医師が解説
コロナ禍以降、胃の不調を訴えて病院を受診する人が増えているそうです。検査をしても異常を特定できない場合は、「機能性ディスペプシア」という診断名がつくといいます。どんな病気なのでしょうか。今回は、現代病のひとつと言える機能性ディスペプシアについて、消化器内科医の工藤あき先生に教えていただきました。
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若年層を中心に幅広く発症。診断基準とは
検査で胃がんや胃潰瘍の疑いはないにも関わらず、胃がすっきりしないときは機能性ディスペプシアの可能性があります。まずはどんな症状なのか、診断基準を工藤先生にうかがいました。
「機能性ディスペプシアの診断基準は、みぞおちの痛み、みぞおちの灼熱感、食後の胃もたれ、食べるとすぐにお腹がいっぱいになることの4項目。このような症状が6か月以上続き、かつ直近の3か月間に症状がある場合は、機能性ディスペプシアの可能性が極めて高いと考えられます」(工藤あき先生)
最近では、胃の不調で医療機関を受診した人の約半数が機能性ディスペプシアと診断されているそうです。罹患層の統計を見ると若年層を中心に幅広く診断されています。
「若年層に多い理由として、活動的な世代がゆえに社会的ストレスを抱えやすいことが関係していると考えられます。またコロナ禍を機に社会のしくみが大きく変わり、自粛生活のストレスや将来が見通せない不安が増えたことも、胃の不調を訴える人が増加した一因だと思います。過度なストレスがかかると、胃酸の分泌量が増えて胃痛を感じたり、胃の働きが悪くなり胃もたれを起こしやすくなったります」(工藤あき先生)
生活習慣を見直し、疲れた胃をセルフケア
続いて、機能性ディスペプシアと診断されたときの対処法を工藤先生にアドバイスしていただきました。
「まず取り組んでほしいのが生活習慣の改善です。食べたり食べなかったりをやめて食事の時間と回数を整え、度数の高いアルコール、香辛料などの刺激物、カフェイン、甘いものは控えましょう。胃酸過多になり胃の粘膜が荒れる原因になります。胃酸には食べものを消化したり、体内に侵入した菌を殺菌したりする働きがあり、酸性度が高いため胃酸過多になると胃の粘膜にダメージを与え胃痛や胃もたれが発症します。
また、週に2回程度の軽い運動も効果的で、ウォーキングなどを習慣にしてリラックスする時間ができると胃の働きを整えることにつながります」(工藤あき先生)
生活習慣を見直しつつ、症状がつらいときは病院で治療薬を処方してもらうと安心です。
「病院ではおもに胃酸を抑える薬や、胃の働きを整える薬を処方します。胃の働きを改善する薬は、胃カメラ検査で深刻な病気の可能性がないと確認したうえで処方されます。注意したいのは、ドラッグストアで購入した胃薬で症状が一時的に改善し、服用をやめると再発するときです。その場合、胃がんなどの病気が隠れている可能性があるので自己判断で服用を続けず、速やかに病院を受診しましょう」(工藤あき先生)
胃に不調が出やすい人は、職場や自宅から通いやすい消化器内科のかかりつけ医を持っていると病気の予防や早期発見につながります。不調を放置せず早めに対処するように心がけてください。
取材・文/北林あい