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食中毒になる人と、ならない人がいるのはなぜ? 原因と対策を消化器専門医が解説

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食中毒に注意のイラスト画像

高温多湿な夏は食品が傷みやすく、食中毒が心配されます。しかし、同じ食品を食べても発症する人と、しない人がいるそうです。そこで、食中毒を引き起こす原因や体のコンディションと発症の関係について、消化器内科医の工藤あき先生に教えていただきました。

監修 : 工藤 あき

内科医、工藤内科副院長。一般内科医として地域医療に貢献する一方、消化器内科医として、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。日本消化器病学会専門医・日本消化器内視鏡学会専門医。その美肌から「むき卵肌ドクター」の愛称で親しまれている。著書に『老けない人が食べているもの』(アスコム)ほか多数。
公式HP 工藤 あき official site (aki-kudo.com)
Instagram https://www.instagram.com/_kudo_aki_/

Contents 目次

身近な食事に潜む食中毒の原因とは?

食中毒のイメージイラスト画像

蒸し暑く、気温が高い季節になると増える食中毒は食べものを介して感染し、外食だけでなく毎日食べる家庭での食事でも発症するリスクが高まります。まずは食中毒の具体的な原因を見ていきましょう。

「食中毒のおもな原因は、細菌、ウイルス、寄生虫などです。細菌はサルモネラ菌やウエルシュ菌、ウイルスはノロウイルス、ロタウイルスが代表的です。アニサキスという寄生虫による食中毒もニュースでよく耳にすると思います。いずれも発症すると吐き気、嘔吐、下痢、腹痛といった症状に見舞われますが、毒素(細菌やウイルス、食品中で原因菌が繁殖して産生された毒素)が体の外に排出されると自然に治ります。ただし抵抗力が弱い高齢者やお子さんなどは重症化しやすく、入院治療を行う場合があるので侮れません」(工藤あき先生)

〈食中毒のおもな原因〉

●細菌
サルモネラ菌:加熱が不十分な肉類や卵で発症しやすく、低温殺菌されていない牛乳やチーズも感染源になることがあります。また肉を解凍した際に出る水分が野菜に付着し、その野菜を生で食べるのも危険です。24~72時間の潜伏期間を経て症状が現れます。

ウエルシュ菌:肉類や魚介類に含まれ、熱に強い芽胞を作り、酸素がない環境を好み増殖するのが特徴。カレーやシチューなどの煮込み料理で多く発症し、潜伏期間は6時間~18時間と言われています。

●ウイルス
ノロウイルス:感染食品は二枚貝が代表的ですが、食品を扱う人がノロウイルスを保有していると調理過程で感染を広げることがあります。乾燥して胞子が空中に舞いやすい冬場に多発しやすく、潜伏期間は24時間~48時間です。

ロタウイルス:ノロウイルスと同じく冬場に流行し、汚染された飲食物を食べたり、便に含まれるウイルスが手指を介して口に入ったりして感染します。おもに乳幼児や子どもが発症しやすく、潜伏期間は24時間~72時間です。

●寄生虫
アニサキス:魚介類の内臓に寄生し、生で食べると食中毒に見舞われます。アニサキスが胃や腸の壁を突き刺し、食べて3~4時間後に激しい腹痛に見舞われます。

胃腸を整えて免疫力を維持し、食中毒対策を

食材を洗っているイメージイラスト

食中毒の対策には、ていねいな手洗い、調理器具の洗浄、食材を十分に加熱することが大切です。また免疫力の低下に気をつけると、食中毒になりにくい体作りができると工藤先生はアドバイスします。

「免疫力はストレスの影響を受けやすく、強いストレスを抱え込むとストレスホルモンが過剰に分泌されて免疫力が下がり、細菌やウイルスへの抵抗力が弱まります。加齢による免疫力の低下は避けられませんが、疲れをためないように睡眠を十分にとる、運動や趣味を楽しみリフレッシュする時間を作る心がけが大事。ストレスはゼロにできませんが、じょうずにマネージメントすれば免疫力の維持に効果的です」(工藤あき先生)

では、保菌した食品を口にしても食中毒になる人と、ならない人がいるのはなぜでしょうか。

「感染リスクの差は、口から入った細菌やウイルスの量の違いのほか、やはり免疫力が関係しています。腸内環境のバランスが保たれ、善玉菌のビフィズスや乳酸菌が正常に機能すると、免疫力によい影響を及ぼし感染や腸の炎症を抑えられます。また、細菌やウイルスを殺菌する胃酸の分泌量もポイントになります。胃に不調があり胃酸の分泌量を抑える薬を飲み続けていたり、鎮痛剤などと併用して胃を守るために胃薬を飲んでいたりする人は、殺菌力が低下しているので食中毒の感染リスクが高くなると考えられます」 (工藤あき先生)

気温が高くなると夏バテや睡眠不足になり、免疫力が下がりがちです。休息をこまめにとって体調管理をしながら食中毒にならない体作りを心がけましょう。

取材・文/北林 あい

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