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胃と腸は一心同体。”胃活”で消化力を高めると腸まで健康&ダイエットにも効果あり! 必要な栄養素2つ
内臓は単体で機能するのではなく連携して働き、互いに影響を受けながら健康を支えています。そこで今回は、胃と腸の関係性に注目。胃が悪くなると腸はどんな影響を受けるのか。消化器内科医の工藤あき先生に教えていただきました。ほか、胃の消化力やダイエットについても解説。
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胃が弱いと腸も乱れやすい理由を解説
ストレスや生活習慣の乱れで胃の不調を抱えやすい現代人。思い返してみると胃の調子が悪いときは腸の働きも悪く、下痢や便秘になっていませんか。胃と腸の関係性を工藤先生は次のように解説します。
「胃痛や胃もたれなどの症状が続く機能性ディスペプシアと診断された人は、下痢、便秘、腹痛などに悩まされる過敏性腸症候群を併発していることがあります。なぜなら、胃と腸の働きはどちらも自律神経によってコントロールされているため、ストレスや寒暖差で交感神経と副交感神経のバランスが乱れると、胃だけでなく腸にも症状が出やすくなるからです」(工藤あき先生)
ほかにも腹筋が弱いなどの理由で支えられず、胃が正常より低い位置にある胃下垂の人は腸が圧迫されて便が出にくいことがあり、胃と腸は相関関係にあると言えます。
ダイエットも胃と腸の連携が大切
胃腸の働きはダイエットにも関係があると工藤先生は言います。どのような影響が考えられるのでしょうか。
「胃は袋のような形をしていますが、これは食道を通過した食べものを一時的に蓄えるためです。蓄えた食べものは、胃のぜんどう運動によって胃液と混ざり合い、腸でスムーズに吸収できるようお粥状になるまで消化します。この段階で十分に消化されず未消化物が大量に腸に送られると腸内環境が悪化し、腸内の善玉菌などによって生成される短鎖脂肪酸が減少します。短鎖脂肪酸は腸内細菌の代謝物質で、減少すると代謝が低下して太りやすくなると考えられます」(工藤あき先生)
また、ある栄養素が正常に吸収されないこともダイエットの妨げになることがあるそうです。
「その栄養素とは、鉄とビタミンB12です。胃に不調がありこれらの栄養素を吸収するのに必要な胃酸が正常に分泌されないと、吸収力が低下します。鉄の吸収に障害が起きると貧血になりやすく活動量が低下し、ビタミンB12は脂質の代謝を担っているのでダイエットに悪影響を及ぼす可能性があります」(工藤あき先生)
消化力アップがダイエットの鍵に
胃腸との関係や胃の機能や働きについて知識が深まったところですが、生まれ持った胃の消化力には個人差があるのでは? でも、胃にかかる負担を減らす生活を心がけると胃の働きが正常に戻り、腸の働きも回復すると工藤先生は言います。
「食事面では、暴飲暴食に気をつけることと、消化に時間を要する脂っこいものの食べ過ぎに注意しましょう。夏は冷たいものを食べたくなりますが、消化器官で分泌される消化酵素は36度~37度で最も活性するため、消化を促すにはお腹を冷やしすぎないことも大切です。またエアコンの効いた室内から屋外に出ると、気温差で胃腸の働きをつかさどる自律神経のバランスが乱れるので、エアコンの温度を上げるなどして寒暖差をゆるやかにすることでも消化力の低下を予防できます」(工藤あき先生)
消化がスムーズな食事と自律神経のバランスを意識し、胃の働きが整うと腸も元気に働きます。ダイエットを始める際も、まず胃腸の状態を整えることに目を向けると、効率よく健康的に効果を実感できそうです。
取材・文/北林あい