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昔と違う! 医師解説。“まばたきの回数”が原因!? PC作業やスマホの利用で急増している目の不調とは? [第1回]
私たちの生活に欠かせないデジタルデバイス。仕事はパソコン、学習はタブレット、息抜きに見るのはスマートフォンという人も多いのではないでしょうか。20年前と比べても生活が様変わりしたといっても過言ではありません。とくにスマホが普及し、SNSの利用が増えたことで、急増している目の不調があるといいます。それはいったい何でしょうか。その改善方法とともに、YouTubeで目の病気について発信する、メディアでもおなじみの眼科専門医、二本松眼科病院副院長の平松類先生が解説します。
Contents 目次
パソコン作業やスマホの見すぎが「○○○アイ」を招く!?
パソコンで仕事は効率化され、スマホの普及でゲームや動画、SNSをいつでも楽しめるなど、生活の便利さは格段に向上しました。しかし、その一方で、「手もとを見る時間が長くなったことで、目が疲れやすくなっている」と、眼科医の平松類先生は指摘します。
その典型的な症状は「ドライアイ」です。
「目の表面はつねに油を含んだ水に覆われ、目を保護しています。この水分が蒸発した状態がドライアイです。パソコン(スマホ)・エアコン・コンタクトレンズの“3つのコン”が三大原因といわれ、共通するのは目の乾燥を招くこと。目にうるおいをもたらすのは“まばたき”ですが、パソコンのモニターを見ているときは、まばたきの回数が減ることがわかっています。1分間のまばたきのおよその回数は、ボーッとしているときは20回ですが、本を読んでいるときは12回、パソコンやスマホを見ているときは7回にまで減ってしまいます。なぜパソコンやスマホを見ているときにまばたきが減るかというと、視覚からの情報を集中して処理しなければならないときは、それを見逃すまいとして、まばたきの回数を減らそうと、脳が自動的に判断するのです」
ドライアイの症状は人によってさまざまだといいます。
「初期に目の乾きを感じて、そのうち目がみえづらいといった症状が出る人もいます。また、乾燥感を感じないこともあり、目がゴロゴロする、充血するという症状から始まり、やがて目の疲れを感じるようになる人もいます」
ケアのポイントは目にうるおいをとり戻すこと
ドライアイのケアのポイントは、ズバリ目の乾燥を改善することです。
「パソコンのモニターやスマホを見ているときは、意識してまばたきをするようしましょう。また、気密性の高い室内だと空気が乾き、ドライアイのリスクになるので、部屋を換気するなどして湿度を保つことも大事です。夏や冬などエアコンを使う季節は、風が顔に直接当たらないように工夫します」
モニターを見るときの角度にも注意が必要だといいます。
「モニターは水平、または水平15度下を見るようにします。上目遣い(目線が上)になると目だけ開き、写真映りはよくなりますが、目は乾きやすくなります。上目遣いは写真の撮影時にとどめておきたいですね」
また、目を温めることも有効だそうです。
「目をうるおす涙の成分は、ほとんどが水分ですが、目の表面から水分が蒸発しないように1%ほど油が含まれています。この油を分泌するマイボーム腺というものがまつ毛のつけ根にあり、目を温めることで油が出やすくなり、目の乾燥を防いでくれます。目に5分程度(※)ホットタオルをのせたり、市販の蒸気が出るアイマスクなどを使ったりするといいでしょう」
※ホットタオルは、タオルを水でぬらして軽くしぼり、電子レンジ(600W)で40秒間温めて作ります。目に乗せているうちに熱が冷めていくので、2本作っておくと便利です。
パソコンやスマホの長時間使用によるドライアイを放っておくと、目の疲れがひどくなり、眼精疲労を招くことも。「目の症状が悪化しないように、ドライアイをしっかりケアしていくことが大切です」と、平松先生はアドバイスします。
デジタルデバイスの長時間使用による目のトラブルの続きは、第2回以降でも紹介します。
取材・文/海老根 祐子