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「らくカロパ食」「栄養コーディネーション」など食に関する注目度が増す!? 2025年のヘルスケアトレンド予測を大発表!
ヘルスケア界のオピニオンリーダー10名とFYTTE編集部員による意見交換や市場リサーチのうえ、1年のヘルスケアトレンドを予想する「FYTTEヘルスケアトレンド」企画。2025年に注目必至なトレンドワードを8つ発表します!
Contents 目次
2025年のトレンドテーマは「対話式ヘルスケア」
2025年のトレンドワードを決定するにあたり、ヘルスケア・ダイエット・フィットネス・ビューティ各分野のオピニオンリーダー8名と編集部員の座談会やアンケートを実施。2025年はどのようなテーマに注目が集まるか、その展望について意見交換をしました。
FYTTE編集部では「FYTTEヘルスケアトレンド2025」を象徴する大きなテーマに、“対話式ヘルスケア”を掲げ、8つのトレンドワードを選定。
「未来につながるセルフケアブランディング」をテーマに、今の自分に必要なもの・ことを自分で取捨選択しカスタマイズできるようになった2024年を経て、2025年は、自分で吟味するチカラがついたからこそ、「本当に必要かどうか」を精査していくフェーズへと移行。自分自身との対話をベースにしながら、その見極めには専門家などプロの知見による的確なアドバイスが必須となります。AIが身近になった今、誰もがヘルスケアにおける専属のパーソナルコーチを抱えられる時代。ダイエットやフィットネスのパーソナルトレーナーによる指導に加え、AIによるコーチングも需要として高まっていくと考えます。
また、少子高齢化の進む日本において、家族や地域とのつながりも2025年以降のヘルスケアのキーワードになると予測できるため、自分自身や他者とのコミュニケーションをとりながらウェルビーイングを目指す流れがくるでしょう。
*今回ご協力いただいたオピニオンリーダーの8名は下記のみなさんです。
(※上段左より50音順)
●浅野まみこさん
管理栄養士。コンビニ外食研究家。食と健康のコンサルティング会社(株)エビータ代表。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8000件以上の栄養相談を実施。企業の健康増進プログラムの展開、食育活動やレシピ開発、食のコンサルティングをはじめ、講演、栄養指導など多方面で活躍中。
●喜多よしかさん
モデル、美腸プランナー。自身のリアルな体質改善を発信した、Instagramアカウント【アラフォーモデルの手抜き美腸生活】が開設当初から注目を浴び、1年間でフォロワー数が11万人を超える。作業療法士、美腸プランナー、ヒーリングフードインストラクターの資格を所有。
●工藤あきさん
内科医。一般内科医として地域医療に貢献する一方、消化器内科医として、腸内細菌・腸内フローラに精通。腸活×菌活を活かした美肌・エイジングケア治療にも力を注いでいる。
●Sayaさん
フィットネスインストラクター。Google本社のエグゼクティブトレーナーとして活動する中で、効率よく理想のボディをつくるフィットネスプログラム「globody(グローボディ)」を考案。日本とアメリカを行き来しながら、企業や一般向けにglobodyプログラムを指導。
●スギアカツキさん
食文化研究家、スーパーマーケット研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。在院中に方針転換、研究の世界から飛び出し、独自で長寿食・健康食の研究を始める。
●ねこくらりえさん
ダイエット&ライフクリエイター 。38歳、82kgで一念発起し“人生最後のダイエット”に挑戦。コロナ禍にアプリでの栄養管理とYouTubeの宅トレを用い自力で、1年間で24kgのダイエットに成功。 SNS総フォロワー数35万人以上 と大人気。
●道江美貴子さん
累計会員数1,100万人超のAI食事管理アプリ『あすけん』管理栄養士。100社以上の企業で健康アドバイザーを務めた後、2007年(株)askenの創業メンバーとして参画。現在(株)asken取締役としてあすけん事業統括責任者を務める。ベント・講演会・メディアへの出演経験多数。
●森拓郎さん
ピラティス指導者、ボディワーカー。大手フィットネスクラブを経て、2009年、自身のスタジオ『rinato』(加圧トレーニング&ピラティス)を東京・恵比寿にオープンし、ボディメイクやダイエットを指導。
2025年のヘルスケアトレンドを予測した8つのワード
FYTTEが予測する2025年のヘルスケアトレンドワードは、
「AIヘルス2025」「らくカロパ食」「栄養コーディネーション」「ガット(胃腸)フレイル対策」「ご自愛フィットネス」「親子ウェルビーイング」「夜ボディリペア」「ご当地ウェルネス」の8つです。
【1】AIヘルス2025
2024年に引き続き、AI技術(人工知能)の進化と日常生活やヘルスケア分野における浸透に注目。フィットネス分野では、AI搭載マシンが指導サポートをする無人化ジムが増えていたり、医療の現場では画像診断・解析などで、テクノロジーのサポートが定着。個人にパーソナライズされたヘルスケアアプリ(ダイエット、トレーニング、睡眠など)の進化もめまぐるしく、AIがそれぞれのライフスタイルに寄り添ったヘルスケアコーチと化していくでしょう。
【オピニオンリーダーのコメント】
「内視鏡検査でがんがないかを目視で確認する際、AIがいっしょに映像を見て解析してくれるといった技術が発展しています。注意点を教えてくれることが見過ごしを防止につながり、診断技術や人手不足もサポートしてくれる存在になっているのは心強く感じます」(工藤あきさん)
「わたし自身がアプリを活用し、1年で24kgやせに成功した経験があることから、デバイスやAIを使っての健康管理は十分に可能だし有効だと思っています! 現在もチャットGPTに、WHOや厚生労働省の掲げる健康基準などを学習させ、自分のダイエットの現状を読み込ませたうえで「なにが問題点で改善点か」ということ答えてもらう方法でアドバイスをしてもらっています」(ねこくらりえさん)
【2】らくカロパ食
世界的に見ても10年で市場が2.5倍以上拡大していると言われる、植物由来のプラントベースフード。日本でも大手食品メーカーから続々と新商品が発売されており、健康意識の高い人を中心に知られていたニッチな存在から、メジャー化していく流れを予測。さらに、良質なたんぱく源である豆や魚といった、ヘルシーで栄養価の高いカロパ(=カロリーパフォーマンスの略)にすぐれたものをレトルト・総菜などでより手軽にとり入れられる時代の波にも注目です。
【オピニオンリーダーのコメント】
「コロナ禍以降、アメリカでは植物性食品への関心が急速に高まり、スーパーやレストランでも植物性食品が日常的に並ぶようになりました。とくに、えんどう豆、ひよこ豆、レンズ豆などの豆類、キヌアなどの穀物、そしてヘンプシードのようなスーパーフードは、必須アミノ酸をバランス良く含み、さらに食物繊維や抗酸化物質も豊富であることから、健康志向の人々を中心に人気を集めています」(Sayaさん)
「いま注目しているのが きのこミートです。海外では、きのこ類、菌類から新しい代替肉を作る動きが活発ですでに製品化、人気も出ています。きのこミートはクセがなくておいしいだけでなく、繊維が多く低カロリーなどメリットが高いため、注目株です」(浅野まみこさん)
「腸活という視点でも、古来から日本人の健康のベースであった魚は積極的にとりたい食材です。 旬の魚をいただくことがベストだと思いますが、缶詰や冷凍鯖のまとめ買いなどをして手軽にとり入れられるよう工夫をしています。調理の手間が省ける無添加の魚料理のレトルト品なども注目です」(喜多よしかさん)
【3】栄養コーディネーション
2025年には厚生労働省による、「日本人の食事摂取基準」の改定もあることから、栄養のとり方・栄養素について注目されることが増えていく機運が高まっています。糖質制限やプロテインブームなどを経た今、ひとつの栄養素だけを意識するのではなく、個人個人が今の自分に不足し補うべき栄養、過剰な栄養を知ったうえで、栄養のとり方を考えコーディネートしていく、「栄養コーディネーション」という新スタイルが確立されるのではないかと予測します。
【オピニオンリーダーのコメント】
「食事の栄養については年々注目度が上がってきており、たんぱく質や食物繊維の摂取をサポートする加工食品も一般的になりつつあります。次に注目される栄養素はビタミンDあたりではないかと予測。2025年度の日本人の食事摂取基準でも摂取量が増えますし、高齢化が進むなか、カルシウムだけでなく骨を作る栄養素として注目されそうです。AIや遺伝子検査を活用し、個々の体質や健康状態に最適な食事プランを提供する『個別栄養』のサービスが多く出てくるのでは」(道江美貴子さん)
【4】ガット(胃腸)フレイル対策
一過性のブームに留まらず、今や健康や美容を意識するうえではずせない位置づけになった腸活。そのなかで生まれたのが、胃腸の虚弱を指す「ガットフレイル」というワード。国内では約10人に1人が、検査をしても異常はないが胃もたれや胃痛のある「機能性ディスペプシア」の症状を感じていると言われており、腸だけでなく胃のケアにもフォーカスする流れがきています。食習慣の見直し、ストレスとの付き合い方など多角的な対策に注目が集まります。
【オピニオンリーダーのコメント】
「コロナ禍~コロナ明けで胃の不調が多かったというアンケート調査があります。実際に病院に来たついでに『胃もたれがあるんだけど』とおっしゃる患者さんは多いです。病院にくる機会の少ない若い世代でも、ストレスやストレス由来の過食で胃痛や胃もたれなど、胃の不調を抱えている場合も」(工藤あきさん)
「筋肉がつきづらいと感じる人ほどたんぱく質をうまく消化できていないことや、貧血や不調のある人ほど、鉄などのミネラルが吸収できていないことがあります。そこで必要なのが『消活』。 “消活=消化活動”は、咀嚼に気をつけたり、消化酵素を摂取するというだけでなく、内臓を動かす自律神経の安定までも気をつける必要があると考えています」(森拓郎さん)
【5】ご自愛フィットネス
コロナ禍以降、セルフケアやご自愛というワードが飛び交い、日本でも着実に根づいた“セルフラブ”の考え方。仕事に家事、趣味にと忙しく日々を過ごしている人が多い現代で、フィットネス分野では美しい体をストイックに追い求めることだけでなく、心身を労り大切にしていく考え方をとり入れたメソッド「セルフコンパッション(自分を慈しむ)×フィットネス」が新たなトレンドになると予想。自分らしさをとり戻すためのメソッドの広まりに期待大です!
【オピニオンリーダーのコメント】
「“自分を大切にする”ことは、ダイエットの成功に不可欠な要素で、セルフコンパッションという考え方はアメリカでも広く支持されています。ムリな食事制限や他人との比較から解放され、エクササイズを楽しむことは心身へよい影響をもたらします。フィットネスを通して自信が高まり、さらに自分を大切にする気持ちが深まるという好循環が生まれるのです。日本でもセルフコンパッションはさらに注目されていくキーワードではないかと思います」(Sayaさん)
「ボディメイクや美しい体作りの前に、そもそも疲れている人が多いのが現状。健康のベースができていないと筋肉を鍛えたり、『ウエストを細くしよう』というスタートに辿り着けないものです。ラジオ体操のようにゆるく続けられて、でも体が整っていく。自律神経を整え、心身を整えるご自愛フィットネスが注目されると思います」(喜多よしかさん)
【6】親子ウェルビーイング
高度成長期を支えた団塊の世代、約800万人が75歳以上になり、国民の約5人に1人が後期高齢者となる「2025年問題」。超高齢化社会が深刻化する昨今、高齢の親を抱える世代も増加しているため家族単位でヘルスケアにとり組むことが重視されていくと考えます。親子でいっしょに使える、食べられるもので家族が健康になるアイテムや食品、親子でとり組むフィットネス、離れて暮らす両親を思う健康ギフトなどが注目され需要が高まる年になるのでは。
【オピニオンリーダーのコメント】
「子育てしながら働く世代が中心になっている時代。子どものために、自分だけのためにという概念は忙しい毎日のなかでは歓迎されなくなっているように感じます。これからは親子でいっしょにヘルスケアにとり組むことに注目が集まるのではないでしょうか」(スギアカツキさん)
【7】夜ボディリペア
休養学が提唱され、休むことの捉え方に変化をもたらした2024年からの流れにより、休養リテラシーの向上が期待される2025年は、翌日のパフォーマンスアップにつながる夜の過ごし方に焦点が当たると予測。厚生労働省が診療科目として睡眠科を追加する方針が固まっていることもあり、睡眠負債や睡眠障害は国民病として扱われるフェーズとなり、社会的な課題として注目度が増していくでしょう。美容分野では、ナイトケアを打ち出した商品も続々と登場!
【オピニオンリーダーのコメント】
「休養の中心は睡眠ですが、それをとりまく環境も非常に大切になっています。そもそも、十分に睡眠をとれる仕事、家庭、住居、そしてメンタリティなども含めて考えなければ、本来の休養はとれず、それが多くの未病にもつながるといえます。寝具や栄養だけは解決しない複雑さがあると言えます」(森拓郎さん)
「弊社でも、睡眠ゲーム『Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)』と『筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)』と合同で 共同大規模調査 を実施し、その結果からも 睡眠とダイエットの関係性が示唆されました。 生活のなかでオンとオフを切り分けられて、休養リテラシーの高い人こそハイパフォーマーである、という認識が高まりそうです」(道江美貴子さん)
【8】ご当地ウェルネス
人生100年時代の今、健康寿命を伸ばすことは多かれ少なかれ誰もが抱えていく課題に。6月には京都・京丹後市で第一回世界長寿サミットが開催されるように、日本の健康長寿地域ならではの食習慣をはじめ、地域ごとの健康術にも国内外から広く注目が集まっていくでしょう。さらに、旅行を楽しみながらご当地のヘルシーフードをとり入れたり、オンラインショップで健康のためにご当地食品を購入するといった体験に価値を見出す人が増えていく流れを予測します。
【オピニオンリーダーのコメント】
「ご当地スーパーが自社のPB商品を開発できるようになり、ご当地野菜や食材、郷土料理などを商品化する流れがあります。ご当地スーパーが非常に盛り上がっているため、旅をしながらご当地フードで健康を目指す、オンラインショップで健康のためにご当地食品を購入するなどなど、手段がますます増えてくるように感じています」(スギアカツキさん)
FYTTEでは、2025年を通して、8つのトレンドワードに関連する特集企画を予定。最新情報やエクササイズメソッド、アイテム情報をはじめ、日常に役立つさまざまな情報を発信していきますので、ぜひ引き続きご注目ください!
イラスト/糸井みさ 文/FYTTE編集部