休むことなく毎日のように気温が上がっている今夏は、とくに熱中症対策の必要性が叫ばれています。夏バテや熱中症など、体温調整がうまくいかないために起きるトラブルを避けるには、一時的に上昇している体温を下げられることが大切。そこでオススメの食材が「アロエ」。
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アロエは体の余分な熱を排出する「寒」食材
アロエは中医学・漢方において「寒」に分類される食材。体を冷やし、体内のよぶんな熱をとり、機能を鎮静させたり、便通をよくしたりする効果がもっとも強い食材として分類されています。
また、食材の味覚や働きで、酸・苦・甘・辛・鹹(かん)の5つの味に分類する「五味」においては、アロエは苦味の食材。こちらの分類でも、よぶんな熱や毒をとって炎症を抑えたり、湿気をとって乾燥させたりする効果があるとされています。
主に、熱による夏バテの解消に用いられるのは、この”寒×苦”の食材といわれているため、アロエは夏に食べたいクーリングフードなのです。
体温調整と水分補給の関係性って?
そもそも私たちの体はどのようにして、体温調整をしているのでしょう。
「人間は体温が上がり過ぎると死に近づき、おおむね45℃くらいでかなり危険な状態となります。
しかし人間には体温を下げるための器官はありません。呼吸によって肺の中の熱い空気を外に出すか、汗をかいて気化熱により体を冷やすかの2通り。つまり『水冷エンジン』と同じなのです。
とはいっても、汗をかいただけでは体温は下がりません。サラリとして揮発しやすい汗は体内の水分が減ってしまうと出にくくなり、蒸発しにくいベタッとした汗になってしまいます。
体温調整そのほか、さまざまな生命活動に使われ、汗や涙のもととなるフリーな状態の体内水分は、加齢とともに減ってしまいます。20代と60代を比較するとその量は約半分にまで落ち込むとも言われており、高齢者ほど汗をかきにくくなってしまいます。そのため高齢者は熱中症にかかりやすいのです」(秋津医院 秋津 壽男院長)
なるほど、この体温調整にこそ、水分補給をするか、しないかが大きく関わってくるということなのですね。
「人間が生きるためには、最低1日2Lの水分が必要とされていますが、食物からも水分は摂取できます。日本人の場合は1日あたり1~1.2L程度の水分を食事から摂取していますが、汁ものがない場合はお茶などを添えたり、少し意識的に水分の多い食物をとるといいでしょう。アロエは水分含有量が高い食材なので、小腹を満たしつつ水分が補給できそうですね」
また、秋津先生によると、水分補給に一番適しているのは室温程度の水。
「夏になると冷たいものを飲みたくなる人も多いでしょうが、じつは冷たいものは体温を上げる働きが。胃腸の酵素は37℃で最も活性化し、30℃で不活性化してしまいます。そのため体内が冷えすぎると胃腸の働きが止まらないよう、肝臓などが熱を発生させ体温を上げようとするのです」
暑くなると、とにかく冷たいものをとりいれて熱を冷まそうとする人も多いかと思いますが、体温調整をする意味でも冷たいものばかりを飲むのではなく、食材や常温の水から水分を補給することを意識してみてくださいね。
文/FYTTE編集部