夏より冬の汗臭のほうがクサいというウワサを調査! 「なぜ?」「どう対策すればいい?」といった疑問を、内科医・認定産業医である桐村里紗先生に解決していただきました。
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■汗の役割とメカニズム
冬にかくベタベタとした汗は、夏のサラサラした汗とはちがってイヤなニオイの原因になります。
汗は体温調整のためにかくもの。暑いときは体の熱を汗と一緒に放出する役割がありますが、寒いときには必要ないため汗腺は休みます。汗腺は使えば使うほど鍛えられて、サラサラな質のよい汗をかけるようになりますが、汗をかかずに汗腺を使わないままでいると、汗の質も落ちることに。
ベタベタな汗とサラサラな汗では、汗のなかに含まれる成分もちがいます。
放出された汗は、常在菌に分解されることでニオイ成分になりますが、体内のミネラル分がそのまま出てしまったベタベタな汗は、菌のエサとなり不快なニオイの原因に。
「日常的に汗をかいていると汗腺が正常に働いて、ミネラルを出しすぎないよう血液に再吸収する機能が働き、サラサラな汗を作りだすことができます。汗はほぼ水で、通常あまりニオイがありません。このように質のよい汗をかいた場合は常在菌のエサにならないので繁殖しづらく、ニオイも発生しません」(桐村先生)
■腸内環境を整える食材は、汗のニオイ対策に効果あり!
「腸内環境の悪化による腐敗臭などが汗に混ざって放出されるため、腸内環境を整えることは汗のニオイ対策に効果的です」(桐村先生)
では、どんな食材をとることが好ましいのかチェックしていきましょう。
・水溶性食物繊維を含む食材
食物繊維は、とくに水溶性のものが腸の善玉菌のエサになるので、海藻類がおすすめ。きのこやこんにゃく、アボカドなどからも摂取できます。
ごぼうなど根菜に多い非水溶性食物繊維は、善玉菌の寝床になったりお通じの改善にも効果的なので、どちらもバランスよくとることが大切です。
・オリゴ糖
オリゴ糖も善玉菌のエサになるので積極的にとりたい食材。飲みものを飲むときに砂糖ではなく、オリゴ糖入りの甘味料を使うのも◎。また、玉ねぎはよく炒めることでオリゴ糖の含有量が増えます。バナナもオリゴ糖を多く含むので、朝の1本は効果的です。
・発酵食品
腸内環境を整える食材として有名な発酵食品も◎。キムチなどニオイが強いものはニオイ対策としては向かないかもしれませんが、キムチの乳酸菌はしっかり腸まで届くのでおすすめ。みそや納豆なども積極的にとリましょう。
■汗の質を上げるには、汗腺を鍛える運動が不可欠!
では、汗臭の原因となる、ベタベタ汗やイヤなニオイを解消するにはどうすればよいのでしょうか?
「口にする食品で汗の中身の対策はできますが、ニオイの原因になりやすい汗をニオイの原因になりにくい汗に変えるためには、運動をして汗腺を鍛えるしかありません。夏より冬の汗のほうがニオうのは、冬になって汗腺が休んでいるところに、厚着をしてベタベタとした質のよくない汗をかいてしまい、菌が繁殖してしまうからなんです」(桐村先生)
こまめに運動できることが理想ですが、岩盤浴や入浴でサラサラな汗をかく習慣をもつことも大切です。また移動するときに階段を使ったり、ひと駅ぶん歩いたり、いつもより大股で歩くなど、日々の生活の中で運動をとり入れるのもおすすめ。
「日常で汗をかくと、汗の中のニオイ成分と雑菌、垢が混ざり合い、洋服に付着。繊維の中に蓄積して劣化、酸化したようなニオイになります。冬の衣類は毎日洗えないものも多いので、汗をかく前に“先回り消臭”として、洋服にスプレーしておくようなアイテムを使うのがよいと思います。体の内側、外側からの両方のケアで、冬の汗臭を気にせず自信を持って動けるといいですね」(桐村先生)
日常にとり入れられる運動や岩盤浴などで汗をかく習慣をつけたり、汗をかいたあとではなく、汗をかく前にニオイ対策ができるアイテムを使うことで、この冬はイヤなニオイとおさらばしましょう!
文/高野瞳