薬効が高く万能薬草ともいわれるよもぎ。食用は春に生えるやわらかな新芽がもっとも適しています。「乾燥よもぎ」や「よもぎ茶」はインターネットでも手軽に購入することができますが、その効果と日常生活への取り入れ方にはどんな方法があるのでしょう。管理栄養士の安中千絵先生にうかがいました。
Contents 目次
よもぎの栄養特性の中でも、この4つに注目!
たんぱく質のほかカリウム、カルシウムなど多種類の栄養素が多量に含まれているよもぎ。その中でも特に注目すべき4つの栄養素をご紹介します。
βカロテン
βカロテンは、体内でビタミンAに変わります。ビタミンAには皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあり、また目の角膜や粘膜を健康に保つ栄養素としても知られています。このほか、動脈硬化や一部のがんの抑制などにも関わっていると考えられています。
ビタミンK
ビタミンKは血液の凝固やカルシウムが骨に沈着するのを助けるビタミンとして有名。目の下のクマや赤ら顔などを改善する美肌効果も期待されています。
食物繊維
よもぎに含まれる食物繊維はレタスの7倍! 食物繊維には、糖尿病や高血圧を予防したり、コレステロール値を下げたり腸内環境を改善するなど様々な効果があります。
フィトケミカル
よもぎに含まれるフィトケミカルのひとつであるポリフェノールには、抗酸化作用があり、抗老化(アンチエイジング)効果が期待されています。
よもぎの栄養素は肌トラブルにも効果あり!
先に挙げたよもぎに含まれている栄養素は、肌の美容にも効果を発揮します。
「よもぎに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAとして作用します。ビタミンAには肌が受けたダメージを回復しハリや弾力、キメを保つのに役立ち、肌の老化防止にも効果があると考えられています。ただし、ビタミンAは過剰摂取すると健康に害を及ぼすので、サプリメントからではなく食物からとることが大事! また、よもぎに含まれるビタミンKには、目のクマや赤ら顔の改善などにも役立つ可能性があります。そのほか、豊富に含まれる食物繊維が腸内環境を整えるため、美肌の大敵である便秘の予防効果にも期待できますよ」(安中先生)
婦人病にいい? 体調改善のよもぎ力
よもぎは世界的に古くから薬用として用いられ、アーユルヴェーダー(インドの民間療法)では、よもぎを漢方とした婦人病の疾患にも用いられているほど。ただ、その効果について、データとしては出ていないそう。
「漢方では婦人科症状の改善などに用いられていますが、国立栄養研究所ではヒトでの有効性、安全性については信用できるデータが見当たらないとしています。普段の食生活に取り入れる分には問題ありませんが、過度な期待をして食べ過ぎないように気をつけましょう」(安中先生)
新芽よもぎをおいしくいただくコツ!
最後に、よもぎを食生活へ効果的に取り入れるための方法を教えていただきました。
「よもぎの新芽はアクが少ないので、そのままお浸しにしたり、炒めものや、天ぷらにして食べるのがおすすめ。よもぎに含まれているビタミンAやビタミンKは脂溶性なので、油と一緒に料理すると吸収が高まります。また、乾燥よもぎは1年中手に入るのでよもぎ餅はもちろん、パンやケーキを作るときに混ぜるのも、香りが増し、食物繊維もとれておすすめです。
食べもののほかにも、よもぎ茶が売られているので、お茶を飲むのもよいでしょう。ただし、ひとつの食品ばかり食べ過ぎるのは栄養が偏るので問題です。旬の時期には積極的に楽しみ、それ以外の季節はほどほどに食べるのがよいでしょう」(安中先生)
道端で見かける野草のよもぎには、美容に役立つ豊富な栄養素が含まれています。食卓に春のよもぎを使った一品を取り入れてみましょう。
文/松田はる菜