指先がいつも冷たい、足先が冷えてなかなか眠りにつけない……。厳しい寒さが訪れる冬は、多くの女性が「冷え」で悩む季節でもあります。東洋医学では昔から、「冷えは万病のもと」といわれてきました。放っておけば、頭痛や肩こり、肌あれなどさまざまなトラブルの原因となります。防寒対策をしっかりとるのも効果的ですが、この冬は食事内容を見直して、体の中から温める「温活」をはじめてみてはいかがでしょう? 毛細血管を広げて血行をよくしてくれる栄養素、ビタミンEをご紹介します。
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「冷え」を感じる原因は血行不良
通常、私たちの体温は、細胞がもっとも活発に活動できる37℃前後に保たれています。そして人体には、この温度を維持するための体温調節機能が備わっています。たとえば寒さを感じた場合、手足や表皮の血管は収縮し、血流が少なくなりますが、これは内臓や脳などの大切な器官に血液を送ることで、体内の熱を逃がさないようにしているのです。
通常ならば一時的に手足が冷たくなるだけで、血管と血流は徐々に戻ります。しかし血行不良の場合、いつまでも、体の中心から遠い部位に温かい血液が運ばれないまま。その結果、手足など末梢部分の温度が下がって「冷え」を感じるようになるのです。気温が低くなる冬は、とくに体温調節機能が働くため、冷えも起きやすくなります。
ビタミンEは赤血球をやわらかくして血行促進!
血行をよくするためには、やわらかでみずみずしい赤血球が欠かせません。かたく、老化した赤血球は壊れやすく、酸素を各細胞に届けることができないからです。ビタミンEは、赤血球を若々しく保ち、柔軟性をもたせる働きをもっています。そのため、ビタミンEを積極的に摂取すれば、血行促進が期待できるのです。
また、血管内に血栓ができるのを防ぐ作用もあるため、サラサラになった血液が末梢にも流れるようになり、結果として「冷え」が改善されやすくなります。ビタミンEの血液サラサラパワーは、血管拡張剤として利用されているほど。血流改善の心強い味方なのです。
ビタミンEを効果的に摂取するための、3つのポイント
ポイント1 油脂と一緒に摂取!
ビタミンEは脂にとける性質をもつ脂溶性ビタミンの一種です。油脂と一緒に摂取すると吸収率が高まりますから、炒めたり、揚げたりして摂取するようにしましょう。豊富に含まれる食品はニジマスやウナギ、アユなどの魚介類や、モロヘヤイヤやカボチャなどの緑黄色野菜です。
ポイント2 調理油をビタミンEたっぷりのものに!
ビタミンEは、ナッツ類や種子類にも多く含まれています。調理油をアーモンドオイルやひまわり油、綿実油にするだけでも、冷え症改善効果が期待できます。ただ、植物油は開封してから徐々に酸化していきます。揚げ物に使った場合はとくに酸化物質が含まれていますから、炒めものにまわすなどして早めに使い切るようにしましょう。古い油は冷え性改善どころか、過酸化脂質がたっぷりでサラサラ血流の妨げとなります。
ポイント3 サプリメントで摂取する場合は、表示成分と摂り過ぎに注意!
体内で貯蔵することができるため、欠乏の心配は少ないといえますが、3食の食事においてバランスよく取り入れることを心がけましょう。また、通常の食生活を送るかぎり、摂り過ぎによるトラブルなどは起きません。
ただ、サプリメントなどで大量に摂取した場合は、血液が固まりにくくなるという報告がありますので、注意が必要です。
また、ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールがあり、それぞれにα(アルファ)体、β(ベータ)体、γ(ガンマ)体、δ(デルタ)体が存在します。もっとも血流改善作用が高いのは、αトコフェロールです。ビタミン剤などを選ぶ場合は、αトコフェロールが含まれているものを選ぶようにしましょう。
じつはビタミンEには、抗酸化作用も強く、細胞の老化を防いでくれる嬉しい働きも。冷え対策をしながら、アンチエイジングもできてしまう、すぐれものの栄養素なのです。この冬は上手にビタミンEを取り入れて、温活に役立てましょう!
参考
『からだに効く栄養成分バイブル』中村丁次監修 主婦と生活社
『からだにおいしいキッチン栄養学』宗像伸子監修 高橋書店
文/本間美加子