明日のプレゼンが気になって寝つけない、など仕事のことを考えるあまり、ベッドに入ってもなかなか寝つけない…ってことありますよね。過度な意気込みは、覚醒度を高めるため寝つきを悪くすることがあるそう。今日は、睡眠コンサルタントの友野なお先生に、自然と気持ちや思考を睡眠モードに移行するためのコツを教えていただきました。
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快眠促進のコツ。自分流、眠りの習慣を作ろう!
今日はハーバード大学の心理学者ダニエル・ウェグナー先生が行ったある実験をご紹介しましょう。まず、参加者を集めて「白くまのことを考えないように」と指示します。そして、もしも白くまのことが頭に浮かんだらその都度合図をするよう頼むと、なんと白くまのことを考えないようにすればするほど頭の中で白くまの存在がどんどん大きなウェイトを占めるようになったのです。
これは睡眠の世界でも同じ。
「嫌なことは考えずに眠ろう!眠ろう!」とする過度な意気込みは、かえって覚醒度を高めて寝つきを悪くすることがあります。自然と気持ちや思考を睡眠モードに移行するためには、気合いで気持ちを切り替えようとするのではなく、「スリープセレモニー(入眠儀式)」を習慣化させるのがもっともおすすめです。
1972年に行動心理学者であるイワン・パブロフが行った「犬たちにエサを与える前に毎回ベルを鳴らすという行いをくり返したところ、犬たちはベルの音が聞こえたとたん、そこに食べものがなくてもよだれを出すようになった」という「パブロフの犬」の実験は有名な話。毎日決まった順番、決まった手順をふんで「いつも通りの行動パターン」を淡々とくり返したことで、犬たちは「ベルの音が聞こえたらエサがもらえる」と学習した結果、体に「無条件反応」が起こったのです。
じつはこの原理は人間にも当てはめて考えることができます。この手法を快眠促進にも応用した行いをスリープセレモニー(入眠儀式)と呼び、速やかにおやすみスイッチを入れる手法として大変有意義であることがわかっているのです。
スリープセレモニーは「眠るための条件づけ」のようなものであり、続けていると、「これをやるといつも眠くなる」というパターンが脳と体にすり込まれ、「眠り」を意識せずとも自然と眠くなるようになります。いわば、自分流の眠りのおまじないのような習慣で、そのアクション自体が眠気の呼び水になるということです。
スマートフォンをいじるような光の刺激がある行いや、激しい運動をするような興奮作用を引き起こす行いでない限り、どんな習慣でもOKです。パジャマに着替える、アロマを嗅ぐなど、シンプルで簡単な内容で問題ありません。むしろ、シンプルな内容のほうが旅先や出張先など眠る環境が異なる場合でもふだん通りにスリープセレモニーを行うことができるため、どんなときでも自分で眠りボタンを押すことができます。
穏やかな気持ちでスムーズに睡眠の世界へ入ることで眠りの質を上げ、睡眠時間を余すことなくキレイを磨くエステ時間に変えていきましょう。