花粉症の症状をやわらげるには、治療とともにセルフケアも重要です。鼻や口から吸いこんだり、皮膚に付く花粉の量が多いほど、症状も強くなります。毎日の生活の中で、花粉から徹底的に体をガードするセルフケアについて、アレルギー専門医で花粉症に詳しい、ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長の永倉仁史先生に伺いました。
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マスク・メガネ・帽子は花粉対策のマストアイテム
花粉症対策は、治療とセルフケアの2本立てで行うのが鉄則です。シーン別に、自分でできる主な対策についてみていきましょう。
1.外出時
●花粉用マスクをつける
「マスクは、不織布製で目の細かい花粉症用のものがおすすめです。マスクをしないときに比べて、花粉を吸いこむ量を6分の1に減らせます」(永倉先生)
●メガネをかける
「メガネの両サイドにカバーのついた“ゴーグルタイプ”のメガネなら、目に入る花粉の量を3分の1に減らせます。ただ、ふだんからメガネをかけている人は、かけ換えると目が見えにくくなったりして、不便があるかもしれません。ふつうのメガネでも花粉の量は3分の2に減らすことができます」(永倉先生)
●帽子をかぶる
「髪の毛についた花粉は、洗髪するまで落とすことができません。屋内でも症状が出てしまう要因になるので、外出時には帽子をかぶるようにしましょう。ニット帽は花粉がつきやいので、綿などサラサラした素材の帽子を選びます。また、長い髪は束ねておくのも有効です」(永倉先生)
●衣類には静電気防止スプレーを
「スプリングコートなど上着が必要な時期には、花粉がつきにくいツルツルの素材のものを。身につける衣類に静電気スプレーをかけておくのも効果があります。ウール素材やフリースなどは花粉がつきやすいので控えたほうがいいでしょう」(永倉先生)
花粉は「家に入れない」が鉄則
花粉を室内に入れない対策も重要です。室内に花があると、人が動いたり、エアコンの風で花粉が舞い上がり、症状がひどくなることもあります。同居する家族がいる場合、花粉を持ち込まないように協力してもらうことも大切です。
2.帰宅したら
●玄関前で花粉を落とす
「花粉は、人の体や衣類について室内に持ち込まれることも多いものです。帰宅後は、玄関に入る前に専用のブラシなどで衣類についた花粉を払い落とします。上着類は、リビングルームや寝室に持ち込まず、玄関近くにかけるようにしましょう」(永倉先生)
●うがい、手洗い、洗顔
「花粉が皮膚につくことで、花粉症皮膚炎が起こり、かゆみが出ることも。特に花粉がつきやすいのは、ほおや首。帰宅後はすぐに、洗顔、手洗いで花粉も落としましょう。うがいも忘れずに。入浴して、髪も洗ってしまえば、より安心です。入浴後は保湿剤などで皮膚を保湿することも大切です」(永倉先生)
●掃除
「室内で花粉が多いのは床。放っておくと、花粉は一年間はそこに止まり、症状を引き起こします。花粉を取り除くには、水ぶきが一番です。室内に舞っている花粉には、空気清浄器を活用しましょう」(永倉先生)
3.家にいるとき
●洗濯物
「外干しは、洗濯物に花粉がついてしまいます。部屋干しが基本です。布団干しもNG。乾燥機を使うようにしましょう」(永倉先生)
●換気
「空気を入れ替えたいときは、花粉情報をチェックして、花粉の飛散量が少ない時間帯を選びます。窓は全開にせず、10㎝程度開けて。レースのカーテンをかけておくと、入り込む量を抑えることができます。換気は短時間で行うのがコツです」(永倉先生)
花粉の季節は、日常の習慣も見直して、症状がひどくならないように気をつけて過ごしましょう。
取材・文/海老根祐子