花粉症の新しい治療法として注目されている舌下免疫療法。免疫システムにアプローチして、アレルギー反応そのものを起こさないようにする根本的な治療法です。さらにくわしい舌下免疫療法について、ながくら耳鼻咽喉科アレルギー科の永倉仁史先生に伺いました。
Contents 目次
舌の下で服用するには理由がある
●「舌下」で薬を服用する理由
舌下免疫療法は、スギ花粉を原料にした薬の服用で、一度に大量のアレルゲンを体内に取り込み、免疫の働きを変えることによって、スギ花粉アレルギーを起こりにくくする治療法です。
現在、治療で使われているのは「シダキュア」という錠剤が主流です。シダキュアは、舌の下に置いて服用します。舌の下に薬を入れると、ラムネのようにさっと溶けます。
水で飲んじゃいけないの? と思うかもしれません。舌下に置いて服用するには、こんな理由があります。
「舌の下には、肥満細胞というアレルギー細胞が少ないことから、薬を取り込んでも強いアレルギー反応が起こる心配がないため、免疫療法に適した場所なのです」(永倉先生)
今年の花粉シーズンが終わった頃が始めるタイミング
●免疫療法の期間
治療はどのように進められるのでしょうか。
「服用量は1日1回1錠です。最初の1週間は、スギ花粉を原料とするエキスの含有量が少ない「2000JAU錠」を服用します。2週目以降は、「5000 JAU錠」を継続して一定期間服用します。舌下免疫療法は、時間をかけて行う治療です。薬を服用する期間は、3年以上が推奨されています」(永倉先生)
最初の服用は、医療機関で行い安全を確認し、2日目以降は自宅で服用します。治療を開始してしばらくは、2週間に一度の受診が必要です。
「お子さんや学生の場合、夏休みなど長期休暇を利用すると、治療がスムーズに始められると思います」(永倉先生)
●治療の開始時期
舌下免疫療法は、花粉が飛散している間は、治療を始められません。副作用が強く出てしまうおそれがあるからです。では、開始のタイミングは?
「これから治療を開始するなら、スギ花粉の飛散が収束する5月中旬以降がベストです。舌下免疫療法の効果が現れるのは、治療を開始してから3か月後からです。効果が出る時期は人それぞれで、花粉シーズンにきちんと効果が発揮されるように、早めの開始がおすすめです」(永倉先生)
舌下免疫療法を始めたいときは、耳鼻咽喉科などに相談しましょう。
取材・文/海老根祐子