特定の果物や生野菜を食べると、口の中やのど、くちびるにかゆみや腫れが起こることはありませんか? もしかしたら口腔アレルギー症候群かもしれません。じつは、花粉症の人に多いといわれています。花粉症と口腔アレルギー症候群の関連について、アレルギー専門医で花粉症に詳しい、ながくら耳鼻咽喉科アレルギークリニック院長の永倉仁史先生に伺いました。
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果物や野菜で起こる口腔アレルギー症候群は花粉症と関連
特定の果物や生野菜を食べた後、口の中やのど、舌、くちびるなどにかゆみ・腫れ・しびれ・むくみといった症状が出てくるのが「口腔アレルギー症候群」です。
「口腔アレルギー症候群は、花粉症の患者さんに多くみられます。花粉に含まれるアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)と野菜・果物に含まれるアレルゲンは構造が似ているため、野菜・果物のアレルゲンがそれに反応して、アレルギー症状が出てしまうのです」(永倉先生)。
花粉症になってから口腔アレルギー症候群を発症することもあれば、ほぼ同時に発症することもあるとか。「花粉症の人の20%に口腔アレルギー症候群がみられる」と永倉先生は言います。
北海道ではリンゴアレルギーが多い!?
花粉の種類によって、アレルギー反応が起こる果物も異なり、花粉と関連がある可能性のある果物、野菜は次のとおりです。
●スギ・ヒノキ……トマト
●カバノキ科(ハンノキ・シラカンバ)……リンゴ、モモ、サクランボ、イチゴ、メロン、スイカ、キュウリなど
●イネ科(カモガヤ)……メロン、スイカ、トマト、オレンジなど
●ブタクサ……メロン、スイカ、ズッキーニ、キュウリ、バナナなど
●ヨモギ……ニンジン、セロリ、レタス、トマト、キウイ、ナッツ類、香辛料(マスタード、コリアンダー、クミン)など
そういえば、メロンを食べるとのどがイガイガする、キウイを食べると口の中がかゆくなる……など、思い当たることがある人もいるのでは?
「カバノキ科と関連する食べ物は多く、白樺が自生する北海道ではリンゴやサクランボなどによる口腔アレルギー症候群が多いといわれています。メロンにアレルギーがあっても、マスクメロンだけは症状が出ないなど、品種によっても差があるようです。
また、加熱することで成分が変化しアレルギーが起こりにくくなり、生のトマトはダメでも、ケチャップは大丈夫という場合も。いずれにしも、“おかしいな”と感じることがあったら、摂取は控えるようにします」(永倉先生)
子どもの野菜嫌いもアレルギーが原因かも
口腔アレルギー症候群を予防するには、どんな食べものでアレルギーを起こすのか、抗体検査をして、その食べ物を避けることです。耳鼻咽喉科など受けることができます。
「ただ、血液検査ではIgE抗体が陽性に出ないこともあります。その場合、皮膚に浅い傷をつけ、果汁を直接つけて調べる皮膚テストでわかることがあります。原因となる果汁を持参すると検査できる施設もあります」(永倉先生)
まれにアレルゲンを含む果物や生野菜で、アナフィラキシーショックを起こすこともありますが、多くの場合、症状が出ても軽く、しばらくすると自然に治まります。気になるときは、耳鼻咽喉科などを受診しましょう。
子どもの野菜嫌いも、実は、口腔アレルギー症候群が原因の場合もあるとか。
「スギ花粉症のある子どもが『トマトを食べると口の中が気持ち悪くなる』などと訴えたら、口腔アレルギー症候群の疑いがあるので、無理に食べさせないほうがいい」と永倉先生はアドバイスします。
取材・文/海老根祐子