ドライアイは、女性が注意したい目の疾患です。40代以降は、女性ホルモンが低下する影響で、涙の量が少なくなり、ドライアイのリスクがアップします。ドライアイにくわしい、みさき眼科クリニック院長の石岡みさき先生に原因や症状について伺いました。
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じつは、「目の乾き」より「目の疲れ」を自覚する人が多い
「ドライアイ」という疾患は、なんとなく知っているけれど、実際に目に何が起こるのか、知らない人も多いかもしれません。ドライアイは、どのような症状が出るのでしょうか。
●ドライアイの症状
涙の量が少なくなったり、質が悪くなることで、目の表面に異常が起こるのがドライアイです。症状は多様で、目が乾く、目が疲れる、目やにが出る、 目がゴロゴロする、重たい感じがする、 なんとなく不快感がある 、痛い、涙が出る、かすんで見える、かゆい、光を見るとまぶしい、目が赤いなど、人によっていろいろです。
「ドライアイというと、“目が乾く”というイメージが強いかもしれませんが、実際は“目が疲れる”という症状を訴える人がとても多いです」と石岡先生。
では、ドライアイの原因は?
●ドライアイの原因
「パソコン、エアコン、コンタクトレンズの“三コン”が三大原因です。コンタクトレンズを使い、エアコンの効いた部屋で、長時間パソコンを使う人は、ハイリスクといえます」(石岡先生)
思い当たる人も多いのではないでしょうか。
“三コン”がドライアイを招く理由は、次の通りです。
・パソコン→凝視することでまばたきの回数が減り、涙の量が減る。
・エアコン→空気の乾燥により、涙が蒸発しやすくなる。
・コンタクトレンズ→コンタクトに涙が吸収されてしまう。
共通するのは、涙の減少。もともと涙は、悲しいときや目に異物が入ったときに出るだけではなく、目の表面を保護する役目があり、その涙が少なくなることで、目の表面に異常が起こりやすくなるというわけです。
涙の質が悪いタイプのドライアイが増加中
しかし、最近は、涙の量が少なくなるタイプのドライアイよりも、「涙の質が悪く、涙の安定性が悪くなることで起こる“BUT短縮型ドライアイ”が増えている」と石岡先生は言います。
●BUT短縮型ドライアイとは?
BUTは「Tear film breakup time=涙液層破壊時間」の略。通常、目を開けると、涙が目の表面に均一の膜を作り、それが崩れるまで10秒以上といわれます。涙の安定性が悪く、涙の膜が5秒以下で崩れるとドライアイを招くことから、BUT短縮型ドライアイと呼ばれています。涙の成分でムチンという粘液が不足することが一因です。
「BUT短縮型ドライアイでは、部分的に涙の膜が崩れる“ドライスポット”が現れます。つまり、本来、均一であるべき涙の膜が、まだらになってしまうため、モノが見えにくくなり、目が疲れやすくなるというわけです」(石岡先生)
パソコンやスマホを使う時間が長くなっていることが、BUT短縮型ドライアイが増えている原因といわれています。
しかし、「涙の量が少なく、目の表面に傷がつくのがドライアイ」という認識の眼科医も多く、BUT短縮型ドライアイは見過ごされるケースも少なくないそうです。
「眼科で『ドライアイではない』と言われたものの、症状が続くようなら、ドライアイに詳しい眼科にかかってみましょう。涙の量や目の表面の状態を調べる検査で、ドライアイかどうか診断できます。HPでドライアイの治療などを掲載していることがひとつの目安になります」(石岡先生)
取材・文/海老根祐子