ズキンズキンとした痛みに、吐き気・おう吐などを伴う片頭痛。つらい痛みに悩む女性も多いものです。片頭痛が女性に多いのは、痛みの発生に女性ホルモンが関っていることも一因です。片頭痛と月経の関係について、富士通クリニック頭痛外来の五十嵐久佳先生に伺いました。
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片頭痛にはエストロゲンの急激な現象が関係
片頭痛に女性が多い理由として、女性ホルモンとの関わりが挙げられます。
「女性ホルモンには、主にプロゲステロンとエストロゲンがありますが、エストロゲンの急激な減少が片頭痛の誘発因子になると考えられています。月経周期の中で、エストロゲンが減少するのは、月経前から月経中にかけて。そのため、この時期に片頭痛が最も起こりやすくなります。月経前緊張症(PMS)のひとつと思われがちですが、この時期に頭痛を感じる人の約80%は、片頭痛と考えられます。
やっかいなことに、月経に関連した片頭痛は、ほかの誘発因子で起こる片頭痛に比べて痛みが強く、持続期間も長くなる傾向があります。市販の鎮痛薬を飲んでも効果がなかったり、その日はよくなっても、翌日にぶり返すことがあります」(五十嵐先生)
毎月、決まって起こる片頭痛に、この時期を恐れて、不安な気持ちで日々を過ごすなど、生活に支障をきたす人も。月経前緊張症だから仕方がないと、あきらめている人も多いようです。
「不安感やネガティブな気持ちでいると一般的に痛みは悪化しやすいもの。セルフケアや病院での治療で、頭痛を軽くすることもできます。頭痛への対処法を知って、ラクな気持ちで生活することも大切です」(五十嵐先生)
妊娠中や更年期を過ぎると片頭痛が軽くなる
一方で、閉経後は、女性ホルモンの変動が少なくなるため、3人に2人は片頭痛がよくなるといいます。
「ただ、閉経前後の更年期は、女性ホルモンが不規則に変動することで、片頭痛がひどくなることも。また、エストロゲンの変動以外の誘発因子でも片頭痛は起こります。更年期は夫の定年や子どもの独立、会社で責任ある立場になるなど、家庭的にも社会的にも変化が多い時期。ストレスや生活パターンが変わることに加え、ホットフラッシュやめまい、肩こりといった更年期症状が現れることで、片頭痛が重症化することもあり、注意が必要です」(五十嵐先生)
また、妊娠中は、エストロゲンが高レベルで維持されるため、片頭痛持ちの妊婦さんの6~8割は、妊娠6か月以降は片頭痛がなくなるそうです。しかし、出産後1か月以内に半数の人は片頭痛が再発するという報告もあります。授乳中でも服用できる薬はあるので、頭痛外来などに相談しましょう。
取材・文/海老根祐子