毎日毎日、消化・吸収・排泄を担っている腸。じつは脳とも深い関わりがある腸内の環境をよくすると、腸の活動が活発になり、便秘の悩みが解消するだけでなく体と心全体が元気になります(→「腸の働きは消化吸収だけではない! “第2の脳”といわれる腸のヒミツ」)。腸内環境を整える第1歩は日々の食事から。そこで今回は、腸内環境を整える食材について、おおたけ消化器内科クリニック院長の大竹真一郎先生に伺いました。
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2種類の食物繊維をバランスよくとるのが腸活のポイント!
腸の働きを活性化し、腸内環境をよくする食べ物の代表格が食物繊維です。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類あり、それぞれタイプが異なります。
水溶性食物繊維は、その名のとおり、水に溶けやすく、胃腸内をゆっくり移動して腸内のよぶんな有害物質を吸収。便をやわらかくし、便と一緒に有害物質を体の外へ排出する働きがあります。腹もちがよいので、食べ過ぎを予防する効果も。水溶性食物繊維を多く含む食材は、昆布、わかめ、もずくなどの海藻類、こんにゃく、サニーレタス、キャベツ、大麦、生らっきょうなど。
不溶性食物繊維は、野菜などに含まれる糸状の筋で、ザラザラとした繊維質が特徴。水に溶けにくく、水分を保ち、便のカサを増して排便を促す働きがあります。ただし、とりすぎると便の水分を奪って便を固くし、便秘がひどくなることも。不溶性食物繊維を多く含む食材は、さつまいも、ごぼう、玄米、とうもろこしなど。
食物繊維をとるときは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよくとることがポイント。水溶性食物繊維1:不溶性食物繊維2が理想です。この比率に近い状態で摂取できる食材もあります。納豆、オクラ、ライ麦パン、キウイフルーツ、アボカド、にんじん、たまねぎなどが、その代表例です。
気をつけたいのが、玄米のとりすぎです。玄米は不溶性食物繊維に分類されるため、とりすぎるとお腹が張ったりして、便秘が悪化する可能性があります。健康意識が高い人ほど陥りやすい盲点ですが、ご飯をすべて玄米にするより、白米の2〜3割を玄米にするのが、おすすめです。
また、もち麦(大麦の一種で、もち性のもの)には2種類の食物繊維がバランスよく含まれています。白米にもち麦を混ぜて炊けば、プチプチした歯ごたえも楽しめます。
ヨーグルトなど発酵食品も毎日の習慣に
発酵食品も、腸の働きをサポートする食材。なかでも、効果的なのがヨーグルトです。ヨーグルトを食べると、その働きによって腸内細菌のバランスが整えられ、ビフィズス菌など善玉菌が作り出す物質が腸を刺激。ぜん動運動(消化管の中身を肛門のほうへ送る運動)が活発になり、スムーズなお通じにつながるのです。
ただ、ヨーグルトは種類が豊富。なかには「生きて腸まで届く乳酸菌」を含むヨーグルトもあり、選ぶのに迷ってしまいますが、腸内環境を整えるために善玉菌の生死は、あまり関係がないそう。
「口から取り入れた善玉菌は、もともと腸にいる善玉菌を助け、増殖させる働きをしてくれます。その際、善玉菌が死んでいても効果はあります。なので、まずは自分の好みのヨーグルトを選んで食べてみてください」(大竹先生)
ヨーグルトの1日の目標摂取量は200〜300g。2週間食べ続けて、お腹の調子がよくなったヨーグルトが、自分に合う“マイ・ヨーグルト“といえます。改善がみられない場合は、ヨーグルトの種類を変え、同様に2週間試し、自分に合うヨーグルトを見つけましょう。
ヨーグルトのほかに、漬けものや納豆、しょうゆ、みそ、塩麹、発酵バター、キムチ、チーズなども、腸の働きを活発にする発酵食品。大竹先生も、毎日の食事に積極的にとり入れているとのことで、腸活にオススメのカンタンアレンジを教えてもらいました。
●ドクターオススメ:腸にいいヨーグルトカンタンアレンジ
ヨーグルトにオリゴ糖、キウイまたはドライフルーツ、シリアルをトッピング。
「オリゴ糖は善玉菌のエサになり、キウイやドライフルーツ、シリアルは食物繊維が豊富です。これらをヨーグルトに加えることで、腸の働きがより活性化されます」(大竹先生)
●ドクターオススメ:腸にいい納豆カンタンアレンジ
納豆1パックに、オリーブオイル大さじ2杯を加え、よくかき混ぜる。
「オリーブオイルに含まれるオレイン酸が腸を刺激するため、納豆の効果とともに便秘の改善に役立ちます」(大竹先生)
ニンニクは腸にもいい優秀食材
ニンニクも、腸の働きを高める腸活に最適な食材のひとつだそう。
「ニンニクの香り成分“アリシン”が、腸内で善玉菌のビフィズス菌の増殖を助けます。また、ニンニクは消化液の分泌を促すため、食欲増進にもつながります」(大竹先生)
1日ひとかけらを目安にニンニクを食べ、腸を元気にしましょう。
次回は、できるだけ避けたい、腸内環境を乱す食べ物について大竹先生にくわしく教えてもらいます。
取材・文/野口美奈子 イラスト/黒川ゆかり