フルーツや野菜を食べると、健康によいというのはもはや常識といえるかもしれません。それらは、栄養素の吸収をよくしたり、体の代謝を促したり、整腸作用を持ったりしますが、そのような効果ばかりではなく、心臓や血管の病気、がんを予防するなどへの効果も証明されるようになってきています。最近も健康の効果についての研究結果が報告されています。その実力とは?
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野菜やフルーツの病気をはねのける力とは
フルーツや野菜をとることで防げるとして注目されている病気が、心血管疾患とがん。それぞれ世界的に見ると、若くして死亡する二大原因となっています。2013年には世界中でこれらの病気で亡くなった人は2500万人以上に上ったそう。
こうした状況を踏まえて、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究グループが、フルーツと野菜の摂取量と心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患とがんとの関連について分析しました。
研究グループは、2016年9月までに実施された95件の研究データを分析。フルーツと野菜の摂取量と心血管疾患(冠動脈疾患、脳卒中、心筋梗塞など)、がん、早期死亡との関連性を調べました。
1日800gで最もリスク低下
その結果、フルーツと野菜をとるほどに、さまざまな病気を減らすことができるという結果があらためて確認されました。
具体的には、フルーツと野菜の摂取量が1日200 g増えると、冠動脈疾患のリスクが8%、脳卒中のリスクが16%、心血管疾患のリスクが8%、がんのリスクが3%、早期死亡のリスクが10%下がるとわかりました。フルーツと野菜のいずれについても効果があり、それぞれ別々に分析しても、同様の結果が出ました。
研究全体で最大の摂取量は1日800 g。リンゴで言えば、3個分ほどなので少なくありませんが、これだけとると病気のリスクも最も低くなるという結果です。がんだけはリスクが最も低くなるのは1日600 gでした。
フルーツと野菜の種類別に見ると、リンゴと洋ナシ、柑橘類、緑色の葉物野菜、アブラナ科の野菜は心血管疾患と早期死亡のリスク低下につながるという結果に。緑黄色野菜とアブラナ科の野菜はがんのリスク低下につながることもわかりました。
なお、1日800 gは、世界保健機関(WHO)が推奨している400 gの2倍にあたります。日本人の野菜の平均摂取量は、1日288.2g(平成29年国民健康・栄養調査)なので、健康のために、フルーツや野菜など植物由来の食品をもっと多く食べることを考えたほうがよさそうです。
ふだんの食生活を見直すヒントにするとよいかもしれません。
<参考文献>
Aune D et al. Fruit and vegetable intake and the risk of cardiovascular disease, total cancer and all-cause mortality—a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Int J Epidemiol. 2017;46:1029-1056. doi: 10.1093/ije/dyw319.
https://academic.oup.com/ije/article/46/3/1029/3039477
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28338764