マーガリンやコーヒーミルクなどに入っている「トランス脂肪酸」。日本ではまだそれほど知られていないかもしれませんが、世界的に「食べないほうがよい」という考え方が強まっています。このたびWHO(世界保健機関)が2023年までに食品からトランス脂肪酸を追放するべきだと発表しました。
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2023年までにゼロを目指す
美容やダイエットを考えるとき、「脂肪」は切っても切れないトピックス。美容やフィットネス、健康にとっては大敵というイメージという面がある一方、最近では、魚の脂に豊富な「オメガ3系脂肪酸」など、むしろ体によい栄養素として注目されることもあります。
そんな中で、「食べないほうがよい」という考えがはっきりしてきているのが「トランス脂肪酸」です。トランス脂肪酸とは、天然の植物油や魚の油を加工することで作られる人工の脂肪です。高い温度でも溶けにくくなるのが特徴なので、マーガリンなどに使われてきました。コレステロールを増やすなどの体に悪い影響が言われており、心臓病や脳卒中などの命にかかわる病気を増やしてしまうと問題視されるようになっているのです。
それほどトランス脂肪酸の問題について聞かれないかもしれませんが、日本国内でも厚生労働省などが問題にするようになっています。
トランス脂肪酸の多い食品は、マーガリンやビスケット、ケーキに使われるショートニング、スナック菓子、クリームなど。
海外では以前から大きな問題になっており、活発に動いているのが、世界の健康問題に取り組むWHO(世界保健機関)です。最近では、WHOが2023年までにトランス脂肪酸をゼロにしていく目標を発表したところです。トランス脂肪酸をほかの油脂に置き換えようという「REPLACE」という行動計画も公表しました。
成果の開示も視野に
WHOが具体的に発表しているのは次のような目標です。限りなくトランス脂肪酸は、使わないようにしていくべきだという考えがわかります。
「2023年までにトランス脂肪酸は油100 g当たり2 g未満に」
「トランス脂肪酸含有量をラベル表示する」
「飽和脂肪酸の少ない油を増やす」
「食品メーカーや国が後押しする」
今後、トランス脂肪酸を健康への悪影響の少ない油に置き換える必要があるとしており、「もっともっと行動する必要がある」とWHOは強調しています。
日本にいても、こうした世界の動きを知ると、トランス脂肪酸がたくさん入った食べものはなるべく避けるのが賢明といえそう。例えば、ビスケットのようなお菓子はトランス脂肪酸をたくさん含んでいることが多いのですが、一方でその食感や味が好きだから、そう簡単に食べない、というのは難しいと思う人もいますよね。これからはトランス脂肪酸を使わないように原料が切り替わっていくのかは注目されて不思議ありません。
参考にはしておきたいトレンドのひとつです。
<参考文献>
Fats, oils, food and food service industries should join global effort to eliminate industrial trans fat from processed food by 2023
https://www.who.int/news-room/detail/23-04-2019-fats-oils-food-and-food-service-industries-should-join-global-effort-to-eliminate-industrial-trans-fat-from-processed-food-by-2023
厚生労働省「トランス脂肪酸に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091319.html