「朝型の人」もいれば、「夜型の人もいる」。それはどうしてなのかと言えば、体内時計の影響があるからだと考えられています。もともと夜型だと、学校や会社など、「9時5時」という言葉に象徴される一般的な社会生活の中では生きづらいものです。ただ、生活習慣をほんの少し調整するだけで、寝起きの時間を2〜3時間早めることができると報告されました。それには3週間ほどかかるようです。
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夜型だと苦労が多い?
いったん夜型になると、9時5時で勤務時間が設定されている場合など、それに体のリズムが合わず、体調を崩すようなこともあります。実際、健康問題、気分障害、成績低下、死亡率の増加などとの関係も指摘されています。
このたび英国バーミンガム大学を中心とした国際的な研究グループが、夜型の体質を直すための方法を検証して、自宅でできる簡単な方法について報告しました。
研究の対象にしたのは、健康な22人。この22人はみんな夜型の体質で、平均で就寝時間午前2時30分、起床時間午前10時15分という状況です。
研究グループでは、夜型のリズムを直す目的で、3週間にわたって次のような生活を守ってもらい、その効果を調査しました。
ひとつは、いつもの起床時間より2〜3時間早く起き、午前中に一番長い時間を外で過ごすようにすること。さらに、いつもの就寝時間より2〜3時間早く床につき、夜は明るい環境でできるだけ過ごさないようにすること。仕事の日も休日も、寝起きする時間を同じにすること。起きたらできるだけすぐに朝食をとり、毎日同じ時間に昼食もとる。そして午後7時以降には夕食をとらないようにすること。
こうした生活を送ってもらいながら、22人には寝起きパターンを調べるために睡眠と起床の記録をとってもらい、さらに、生活のリズムに合わせて変動するメラトニンとコルチゾールというホルモンの値も測定。どのような変化が現れたかを確認しました。
午前中から調子が上がる
3週間後、22人の寝起きのパターンは、睡眠の長さに影響せずに、最大2時間前倒しされることが確認されたのです。しかも、夜型の人が疲れを感じやすい午前中の調子がよくなることも確認できました。午前中の頭の働きや身体能力が高くなったのです。
さらに、能力が最も高まる時間は、もともと夕方から夜にかけてでしたが、午後の時間帯に変化していました。朝食をとる日も増えて、ストレスやうつ症状を感じることが減るという心の健康にもつながっていました。
まだまだ研究すべきことはあるようですが、3週間くらいの寝起きの工夫をすると、体のリズムが変わるのは確かなよう。最初は大変かもしれませんが、がんばってみる価値はあるのかもしれません。
<参考文献>
Sleep Med. 2019 May 10. pii: S1389-9457(19)30138-8. doi: 10.1016/j.sleep.2019.05.001. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31202686
Night owls can ‘retrain’ their body clocks to improve mental well-being and performance
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/06/190610100622.htm