フィットネスに取り組んでいると、体重が減ったり美容につながったりと、効果を日々実感できるはず。ところで、比較的短い間の効果はあるとして、もっと長い目で見てどうなのでしょう。デンマークの研究グループが46年間にわたる調査をした結果、激しい運動の効果のひとつとして肺への効果がありそうだとわかったようです。
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スポーツにずっと取り組むと・・・
日本で毎週運動をしている人はほぼ半数に上ります。ウォーキングやランニングのような有酸素運動に取り組めば、血液の循環はよりよくなり、呼吸の機能も高められます。そうすると心肺機能が上がって、さらに激しい運動をしても疲れにくくなりますし、ダイエットにもつながってきます。
運動に取り組むと、さまざまな病気を防ぐことができることがわかっています。たとえば、肺の病気を減らせるとも考えられてきました。デンマークの研究グループは、たばこを吸う人に多い病気「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」に注目して、運動の長期にわたる効果を調べました。この病気になると、息をするときの空気の通り道である気道や肺の組織がダメージを受けて、うまく呼吸ができなくなります。命にも関わる、なりたくない病気といえるでしょう。
病気が減って、死亡も大幅に減少
調査の対象としたのは、フィットネスに取り組む4730人の男性。心肺機能にとってどれくらい激しい運動をしているのかをVO2MAX(最大酸素消費量)から判断して、「軽い運動」「中程度の運動」「激しい運動」という3段階に分けました。そのうえで、最大46年間にわたり追跡調査して慢性閉塞性肺疾患リスクとの関係を調べたのです。
こうしてわかったのは、激しい運動に取り組んでいる人のほうが慢性閉塞性肺疾患を減らせるということ。軽い運動をしている人と比べると、中程度の運動に取り組んだ人は21%少なく、激しい運動の人は31%少ないという結果でした。しかも、この病気を原因として亡くなる人について比べると、それぞれ35%、62%と大幅に少ない結果となりました。
運動にはいろいろなメリットがあると知られていますが、こと慢性閉塞性肺疾患においてリスクを引き下げる効果が大きいといえそうです。長く運動に取り組んでいる人にとっては朗報といえるのでしょう。
<参考文献>
Good physical fitness in middle age linked to lower chronic lung disease risk
https://www.bmj.com/company/newsroom/good-physical-fitness-in-middle-age-linked-to-lower-chronic-lung-disease-risk/
Thorax. 2019 Jun 17. pii: thoraxjnl-2018-212821. doi: 10.1136/thoraxjnl-2018-212821. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31209150
文/星良孝