歩数計などで、毎日の歩数をチェックしている人も多いかもしれません。目安は1万歩などとされますが、1日に何歩であれば健康や長寿につながるのかよくわかっていません。このたび米国ハーバード大学の研究グループが、多くの人のデータを分析して、どれほど歩くとよいのかを導き出しました。
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たくさん歩くとよいことがあるの?
このたび、どれだけ歩けばよいかを調べたのは米国のハーバード大学。注目したのは、健康や寿命との関係です。
研究グループによると、1日1万歩がよいというのは、日本で生まれたアイデアだということ。日本の山佐時計計器という会社が1965年に「万歩計」の名称で歩数計を売り出してからとされます。実質的に「1日で何歩がよいのか」、正解は現在に至るまでないそう。
研究グループは、45歳以上の1万8000人近くに活動量計をつけてもらい、1日の歩数や歩く速さと死亡率との関連性を調べました。連続して7日間、活動量計を腰につけてもらってデータを集めて、4年以上にわたってデータを分析したのです。
1日の歩数が多いとより健康に
研究グループは、1日の歩数によってグループ分けして分析しています。
すると歩数が多いほど、死亡率が減ることがわかりました。いちばん歩数が少ない、1日平均2700歩のグループを基準にすると、死亡率の低下は、平均4400歩グループで41%、平均5900歩グループは46%、平均8400歩グループは58%という結果に。7500歩以降は横ばいで、歩く速さは無関係でした。歩数が多いと、死亡率は大きく減っていることが明らかになったのです。
ただし、たくさん歩いたから死亡率が低下したのか、そもそも健康だったのでよく歩いたのかという、因果関係についてはわからないところもあるそう。ただ実験では、もともと健康な人を選ぶようにしていたため、たくさん歩いていたことで死亡率が低くなった可能性は否定できないようです。
そもそも運動すると、さまざまな健康診断の値も改善して、病気の予防につながることもわかっていますから、そうした結果がデータに表れたとの見方も。研究グループは、「歩数を増やす意味はありそう」とまとめています。今回の結果からは、歩く速さは無関係で、ゆったりしたウォーキングでも意味はあるという結果です。毎日、たくさん歩くのは大変かもしれませんが、心がけるとよさそうです。
<参考文献>
Walk this way
https://news.harvard.edu/gazette/story/2019/06/for-older-women-just-7500-steps-a-day-lowers-mortality/
JAMA Intern Med. 2019 May 29. doi: 10.1001/jamainternmed.2019.0899. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31141585
How many steps for better health?
https://www.nih.gov/news-events/nih-research-matters/how-many-steps-better-health
Among older women, 10,000 steps per day not needed for lower mortality
https://www.sciencedaily.com/releases/2019/05/190529180228.htm
文/星良孝