頭痛は、日ごろのケアで、ある程度は予防することができます。生活にとり入れたいセルフケア法を富士通クリニックの五十嵐久佳先生に伺いました。
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片頭痛、緊張型頭痛の両方に効く頭痛体操をやってみよう
片頭痛の場合、痛みはつらいけれど、1~3日でおさまることがほとんど。それは、脳の痛み調節系が働いて、痛みを最小限におさえてくれるからです。痛み調節系がうまく働かないと、片頭痛の回数が多くなったり、長引く原因になります。
一方で、「痛み調節系にいい刺激を送ることで、片頭痛を予防することができます。ヨガやフラダンスなどリズム運動が効果があるようです。首、肩、肩甲骨まわりの筋肉をほぐすストレッチもおすすめです。肩や首のこりが原因となる緊張型頭痛にも効果があり、緊張型頭痛の患者さんでは頭痛のあるときに行うと、痛みが軽減する効果もあります」(五十嵐先生)
下のイラスを参考に行ってみましょう。オフィスで、またはテレビを見ながらでもできます。ただし、片頭痛の発作中には行わないようにします。
1. あごを引き、背すじを伸ばした状態で、両腕を手のひらを上に向けて、背中側に引く。
2.その位置をキープしながら、手を左右に回転させる。手の動きにつられて、腕、肩も回転するので、その動きを意識する。肩のこりがほぐれる。
頭が痛くなったら、とりあえずコレ ~ 頭痛への対処法
頭痛が起こったときには、痛みが軽くなる方法を知っておくと安心。片頭痛と緊張型頭痛では、ケア方法が異なることがあるので、注意しよう。
【片頭痛の場合】
■こめかみなど痛むところを冷やす
「血管が収縮して、痛みが軽減します。保冷剤や保冷シートを使うと便利です。横になるときは氷枕でもOK」(五十嵐先生)
【緊張型頭痛の場合】
■緊張型頭痛は肩や首を温める
「肩や首のこりがほぐれると、痛みがやわらぎます。蒸しタオルやホットパックを利用するといいでしょう。少し熱めのシャワーを当てるのも効果的です。入浴も、血行がよくなり、リラックスできるので、緊張型頭痛の場合はおすすめです」(五十嵐先生)
【片頭痛・緊張型頭痛に共通】
■コーヒー、紅茶などを飲む
「コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるカフェインの成分が、痛みを和らげてくれることがあります。ただ、ふだんから一日3杯以上のコーヒーを飲む人は、カフェインが切れたときに『カフェイン離脱頭痛』を起こすことがあるので、飲み過ぎは禁物。カフェインは市販の鎮痛薬や栄養ドリンクにも含まれていることがあり、思いがけずとりすぎてしまうこともあるので注意しましょう」(五十嵐先生)
■ツボを押す
頭痛に効くツボを押すのも、痛み神経の興奮を鎮め、痛みに即効性があります。「イタ気持ちいい」ぐらいの強さでツボを刺激しましょう。
<側頭部の痛み>
頭維(ずい)
額の角の髪の生え際より、親指1本分ほど外側にある。
握りこぶしを縦にして、小さな円を描いたり、上下にこまかく動かして刺激する。
<後頭部の痛み>
風池(ふうち)
後頭部の生え際あたりのくぼみにある。
両手の親指で押しながら、頭を後ろにそらす。
紹介したセルフケア法は、ほんの一部です。たとえば、片頭痛持ちの人でも、「入浴でラクになる」という人もたまにいます。「トライ&エラーで自分に合ったケア法を見つけていくといいですね」と五十嵐先生はアドバイスします。
取材・文/海老根祐子