食品として重宝されるはちみつは、古くから治療目的で使われてきた歴史があります。ミツバチが集めてきた花の蜜に含まれる複数の成分が効果を発揮すると考えられてきたのです。現代でも抗菌作用などが期待されることも。このたび英国の研究グループが、マヌカハニーについて薬の効かない細菌を殺す効果がありそうだと報告しています。
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研究から効果は裏付けられている?
マヌカハニーは、マヌカと呼ばれる花の蜜から作られたはちみつです。抗菌効果があるとされ、健康面から注目されています。
2017年には、英国の研究グループが、マヌカハニーの抗菌効果についての研究報告をまとめました。この報告によると、マヌカハニーに含まれるフェノール類の成分やメチルグリオキサール(MGO)と呼ばれる成分が、多くの細菌に対しての抗菌効果を示すことが確認されました。
また、一般的な薬が効かない耐性菌や、海外では「スーパーバグ」と呼ばれる治療が難しい病原菌に効果がないか検討している研究グループも。ただし、これまでは実際に人を使ったときの効果を調べた研究は少ないのが実情でした。
人での効果の検証は進行中
最近進められているのは、人に対する効果があるかという研究です。抗菌効果を求めて人に対して検証が進んでいるのは、医療用に調節されたはちみつです。通常のはちみつがそのまま医療用に使われるわけではありません。
アイルランドの研究グループは、2018年に代表的な耐性菌であるMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)の鼻腔での感染を治療するため、ムピロシンと呼ばれる従来の治療薬とマヌカハニーとの効果を比較する研究を行っています。この研究では、マヌカハニーがムピロシンと同じ程度の治療効果を発揮することがわかりました。
さらに、英国の研究グループが、遺伝病である囊胞性線維症を患う人に感染した耐性菌に対するマヌカハニーの効果を検証しています。動物実験ではありますが、抗菌薬の殺菌効果が29%だったのに対して、マヌカハニーは39%と高い結果に。実用化には至らない段階ではありますが、マヌカハニーが応用できる可能性があると研究グループは指摘しています。
人での研究はまだまだ途上ですが、抗菌効果を持ったマヌカハニーは今後ますます注目されていくでしょう。
<参考文献>
ひと粒70円の高級のど飴!カルディで見つけたNZ産「マヌカハニー」薬用のど飴の効果がすごい。
https://fytte.jp/healthcare/41603/
Antibacterial activity of Manuka honey and its components: An overview.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31294240
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/31294240/
J Hosp Infect. 2018 Feb;98(2):141-148. doi: 10.1016/j.jhin.2017.10.016. Epub 2017 Oct 26.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29107078
Manuka honey to kill drug-resistant bacteria found in cystic fibrosis infections
https://www.swansea.ac.uk/press-office/latest-research/manukahoneytokilldrug-resistantbacteriafoundincysticfibrosisinfections.php