太ると健康などにさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。そのようななか、肥満は便通にも関連性がありそうだと報告されました。しつこい下痢につながることがあるようで、その原因は食事や運動ではないといいます。下痢の症状を治すうえで参考になるかもしれません。
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女性で割合が多いのは20代
下痢はごくありふれた症状のひとつです。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2016年に下痢を訴えていた人の割合は、男性が1.82%、女性が1.48%となっていました。年代別で見ると、男性で割合が最も高いのが80代の2.29%ですが、それに続くのは30代の2.18%。20代は1.89%。女性は最も割合が高いのが20代の2.17%です。下痢に悩む人は20代だと50人に1人という計算になり、意外と多いといえるのかもしれません。
今回、こうした下痢と肥満症との関連が調べられました。米国疾病対策センター(CDC)によると、米国人の肥満は全体の4割を占めます。肥満になると、心臓疾患や糖尿病、消化器疾患などあらゆる病気を併発することはご存じの通り。こうした健康トラブルのなかには慢性的な下痢もあるのです。
米国ボストン、ベス・イスラエル・ディコネス・メディカル・センター(BIDMC)の研究チームが、全国健康栄養調査(NHANES)の5000人分を超えるデータを分析して、BMIと便通の関連性について分析しました。対象となったのは、下痢と関係している過敏性腸症候群、セリアック病、結腸がんになったことがない人たち。アンケートに基づいた便通の状態に加えて、BMIからやせ過ぎ、標準体重、太り過ぎ、肥満、重度の肥満に分類し比較。下痢の要因を食事、運動、糖尿病、下剤の使用などに分けて調べました。
肥満だと下痢になりやすい?
するとわかったのは、肥満の場合、慢性的な下痢の人が多いということでした。肥満で下痢でも、食事や運動などに要因は関係ありませんでした。
ただ、なぜ肥満だと、標準体重よりも下痢になりやすいのか。その根本にある原因はまだ明らかになっていません。研究グループによると、考えられる説明としては「肥満になると全身に炎症が起きる傾向があり、それが下痢に関係しているのではないか」とのこと。この関係性をさらに調査し明らかにすることで、「より適切な治療方法を確立できる」と指摘しています。
日本でも下痢と肥満との関係について考える価値はありそうです。
<参考文献>
厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html
Beth Israel Deaconess Medical Center. “Obesity associated with abnormal bowel habits — not diet.
https://www.bidmc.org/about-bidmc/news/2019/09/obesity-and-diarrhea