妊娠中は、お腹のなかで赤ちゃんがすくすくと育つ時期。お母さんがバランスのとれた食事をすることが大事です。では、ダイエットをするとどんな影響があるのでしょう? カナダの研究グループは、イスラム教で行われる「ラマダン断食」が妊娠中の女性に及ぼす影響について報告。その結果から妊娠中の食事の大切さを学ぶことができそうです。
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日中の食事をしないとどんな影響が?
妊娠中の食事をきちんととらないとどうなるのでしょう。そのことを知るために参考にできるのが、イスラム教の習慣で行われる「ラマダン断食」です。イスラム教の信仰をもつ人は、世界中にいますが、「ラマダン」と呼ばれる7月から8月にかけての約1か月間、日の出(朝5時半前後)から日没(夕方5時前後)までの時間に飲み食いが一切禁止されるのです。妊娠中の女性もラマダン断食と無縁ではないと見られます。
そこでカナダの研究グループは、カナダ東部ケベック州の1981年から2017年の出生証明書312万3508 件から、中東系の7万8109件のデータを調査。早産を、超早産 (22~27週)、早産 (28~31週)、後期早産(32~36週)に分類し、ラマダンの月と、早産との間に関連があるのかを分析しました。
妊娠中期が重なると早産が35%上昇
調査からわかったのは、調査対象になった中東系の女性の早産は100人につき5.53人だったのですが、ラマダンとの関連があるということです。
妊娠15~21週 (妊娠中期の前半)がラマダン断食の時期と重なっている場合、早産が1.33倍(約35%の増加)になっていたのです。さらには、妊娠22~27週(妊娠中期の後半)に重なっていると、1.53倍に。研究グループは、今回の調査では、対象者全員がラマダン断食を行っていたかは明確でないものの、はっきりとした関連があると結論しています。
なお、超早産と後期早産はラマダン断食と関連がありませんでした。研究グループは、妊娠中期ではエネルギー必要摂取量が340kcal増加するのに比べ、妊娠初期では妊娠していない女性とエネルギーの必要摂取量が変わらないと指摘。そのため超早産は影響を受けないのだろうと説明します。
この研究からは、妊娠中期に特に栄養をしっかりとることが重要だと考えることができそうです。妊娠中の食事の大切さを考えるうえで知っておきたい研究結果です。
<参考文献>
Fasting during the second trimester of pregnancy may be particularly harmful
https://nutrition.org/fasting-during-the-second-trimester-of-pregnancy-may-be-particularly-harmful/
J Nutr. 2019 Oct 1;149(10):1826-1832. doi: 10.1093/jn/nxz126.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31198942
https://academic.oup.com/jn/article-abstract/149/10/1826/5518964?redirectedFrom=fulltext