腸内の健康はよく話題にのぼります。発酵食品を食べることで、腸内細菌の状態をよくすることが、全身の健康にも関係することが研究からわかってきています。こうしたなか、新しい選択肢になるかもしれないのが「シンバイオティックパスタ」。米国アリゾナ州立大学の研究グループが、「シンバイオティック」入りのパスタが健康によさそうだと報告したのです。パスタは日本でも大人気のメニュー。これから日本でも広がりを見せるかもしれません。
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1日に1回食べると?
「腸内細菌」や「腸内フローラ」は、美容や健康を考えるうえで欠かせないキーワードになっています。さまざまな研究から、腸の内部に生息している細菌が、健康に深く関係していると証明されてきたからです。
こうしたなか、健康によい効果を示す菌を体にとり入れる「プロバイオティクス」や腸内の細菌を効果的に増やしてくれる食品である「プレバイオティクス」といった食品が人気ですが、このプロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせたのが「シンバイオティクス」です。腸内環境を改善する機能性をもつ食品として注目されています。
このたび米国アリゾナ州立大学の研究グループは、日ごろからよく食べられているパスタに注目。シンバイオティクス入りのパスタの健康への効果を調べて、その結果を報告しています。研究グループは過体重または肥満の41人を対象に、12週間にわたってシンバイオティクスパスタを食べてもらい追跡調査をしました。ランダムに2つのグループに分けて、片方はシンバイオティクスパスタ、もう片方は全粒粉から作った通常のパスタを1日に1回食べてもらいました。
コレステロール値と腸内環境が改善
わかったのは、シンバイオティクスパスタが、健康につながるような効果を発揮するということ。具体的には、全粒粉によるパスタを食べたグループと比べて、肥満の人の場合、血液の炎症が軽くなり、コレステロール値が改善。血糖値の高い人では、血糖値の上昇を抑えるような変化が見られました。腸内の善玉菌が増えていることも確認されました。
研究グループは腸内細菌のバランスを変化させることで、健康を改善させるような効果が現れたと指摘。今後、さらに研究を進めていく方針です。腸内にシンバイオティクスを届けるためにパスタが使えるという発見は、世界で食べられるパスタが、今後、腸内環境改善の目的で注目される可能性を秘めています。
<参考文献>
Synbiotic pasta found to enhance the health of obese individuals with or without hyperglycemia
https://nutrition.org/synbiotic-pasta-found-to-enhance-the-health-of-obese-individuals-with-or-without-hyperglycemia/
J Nutr. 2019 Oct 1;149(10):1687-1689. doi: 10.1093/jn/nxz132.
https://academic.oup.com/jn/article/149/10/1687/5514555
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31192365