年末年始は、忘年会や新年会などお酒を飲む機会が多くなります。つい飲み過ぎて、二日酔いになったり、「あんなことを言わなければ」「こんなことをしなければ」と後悔したりしないように、大人の女性として、上手にお酒とつき合っていきたいものです。『酒好き医師が教える薬になるお酒の飲み方』(日本文芸社)の著書を持つ秋津医院院長・秋津壽男先生に、スマートのお酒を飲むための適量について、ご指南いただきました。
Contents 目次
大人の女性なら、自分の適量を知ろう
30代ともなれば、場数を踏んだ経験から、「ここまでなら二日酔いにならない」という自分なりの目安がわかってくると思います。飲める量には個人差がありますが、じつは、厚生労働省が、適量として定めている目安があります。お酒の1日の適量は、純アルコール量に換算して20gです。これは、どれぐらいの酒量でしょうか。
<純アルコール量20g>
ビール:500ml(中びん1本)
日本酒:1合
焼酎:0.6合
ウイスキー:ダブル1杯
ワイン:180ml(グラスワイン1杯125mlとして、約1杯半)
缶酎ハイ:ロング缶1本
しかし、忘年会や新年会で2~3時間過ごすとして、ビール中瓶1本では持たないですよね。これはで少ない!と感じる人もいるかもしれません。では、アルコールが体から抜ける量から適量をみていきましょう。
「アルコールが体から抜ける時間は、医学的には体重1kgあたり1時間で0.1gを分解すると考えられています。アルコールの分解速度は、薬と同様に体重で決まります。したがって、体重が50kgの人よりも70kgの人のほうがアルコールを早く分解できるので、お酒が抜けるのも早いといえます」
下記が計算式になります。
<計算式>
(A)1時間に分解できるアルコール量=体重kg×0.1
(B)純アルコール量g=(アルコール度数÷100)×飲んだ量ml×アルコール比重0.8
(A)と(B)をもとに、飲酒量からアルコールが抜ける時間を計算する
(C)飲んだアルコールの消化時間=(B)純アルコール量÷(A)1時間に分解できる量
たとえば、体重50kgの人がビール350ml(アルコール度数5%)を1本飲んだ場合、
その人が1時間に分解できるアルコール量(A)は5gです。一方、ビールの純アルコール量(B)は14gとなるので 、アルコールの消化時間(C)は、14÷5=2.8時間となります。
19時頃から飲み始め、午前0時には就寝するとして、その5時間で酔いを冷ますには、ビールなら中びん1本半ぐらいに相当します。厚労省が示す1日の適量より、少し多くなりましたが、いかがでしょうか。
女性のほうがお酒に酔いやすい
あくまでも目安ですが、お酒を飲んだときの状態や性別によっても、酔いやすさの大まかな傾向はわかります。
「お酒を飲んで顔が赤くなる人は、アルコールを分解する機能が弱いため、顔が赤くならない人に比べて、アルコール分解の速度は遅くなります。飲んでいるときの状態も関係していて、食後より空腹時、起きているときより睡眠中のほうが分解の速度は遅いといわれています。また、男性より女性のほうがアルコールを処理する肝臓が小さいため、アルコール処理能力は低いと考えられています。いずれにしても飲み過ぎには注意が必要です」
自分の適量を知っていても、楽しく飲んでいるうちに、ついつい飲み過ぎてしまうのがお酒です。ある程度、理性が残っているうちに、「これ以上飲んだら、適量オーバー。あとはソフトドリンクで!」と意志を強くもつことも大切ですね。
取材・文/海老根祐子