セルフケアでなかなか頭痛がよくならない場合、病院で診てもらうこともできます。頭痛外来、あるいは神経内科、脳神経外科へ行ってみましょう。病院での頭痛治療について、富士通クリニック頭痛外来の五十嵐久佳先生に伺いました。
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片頭痛の治療に明るいニュース
片頭痛の治療では、主にトリプタン製剤という片頭痛専用の治療薬が処方されます。脳の血管の拡張による脈打つようなズキンズキンとした痛みを鎮めるとともに、三叉神経の炎症を抑える効果があります。
「現在、日本では経口薬(水で飲むタイプと口の中で溶けるタイプ)、点鼻薬、皮下注射の3タイプがあります。注射、点鼻の順で効き目が早く、口で溶ける経口薬はどこでも飲めるメリットがあります。症状やライフスタイルに合わせて処方されます」(五十嵐先生)
週に2日以上の頭痛発作がある、頭痛がひどくて生活に支障が出る場合には、予防薬が処方されることがあります。予防薬にはロメリジン、バルブロ酸、プロプラノロール、アミトリプチリンなどがあり、もともとてんかんや心臓病の治療薬として開発されたものも含まれますが、片頭痛への効果も認められています。
予防薬については、「新薬の開発」というグッドニュースも。
「現在、片頭痛のために開発された予防薬が臨床試験の最終段階に来ています。CGRPという痛みに関する神経伝達物質に対する抗体薬で、片頭痛の回数を減らす効果があります。従来の予防薬が効かなかった人でも効果が認められ、期待が集まっています。臨床試験が成功すればだいたい2年後ぐらいに、医師のもとで使えるようになるかもしれません」(五十嵐先生)
緊張型頭痛も病院で治療ができる
緊張型頭痛の場合は、一般的にアセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなどの鎮痛薬が処方されます。
「鎮痛薬は、週に2~3日以上使用しないように注意します。肩や首のこりがひどい場合は、筋弛緩薬が処方されることもあります。心理的な要因が強い場合には、抗うつ薬や一時的に抗不安薬を用いることも。ただ、自分なりのリラックス法を見つけることが大切です」(五十嵐先生)
※日本頭痛学会では『日本頭痛学会認定専門医の認定制度』があり、HPで病院と認定医を公開しています。
いつもと違う頭痛には注意! ~命の危険がある頭痛
頭痛は、脳出血、脳腫瘍、髄膜炎などの脳の病気などでも起こります。放っておくことで、命にかかわることも。次のような痛みには注意します。
- 突然の痛み
- これまで経験したことのない激しい痛み
- 1~2週間のうちに、痛みがどんどんひどくなる
- 物が二重に見える
- 手足のしびれ、麻痺、言語障害などを伴う
- 頭痛とともに、数週間、熱が続くなど
これまでと違う痛みを感じたら、すぐに脳神経外科などにかかりましょう。
取材・文/海老根祐子