「マインドフルネス」のトレーニングをすると、健康な人でも心の病をもつ人でも、ネガティブな感情が減ると証明されているそう。そのため、マインドフルネスは不安症やうつ症状、トラウマなどの治療のためにも行われています。このたび、その効果は「不安や恐れを消す」という脳の力を引き出しているためという報告がありました。
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恐怖感に対してどんな効果があるの?
不安や恐れ、トラウマなどに関係した精神的な疾患を治療するときには、原因となるシチュエーションにあえてくり返し接することで、「怖くないことを学ぶ(恐怖を消す)」という方法がよくとられています。ただし、こうした方法の難点は効果に個人差があり、長続きしないこと。こうしたなかで注目されているのが、瞑想する「マインドフルネス」です。医学的に研究も進んでおり、「恐怖を消す」という役割を果たす脳のエリアに影響するとわかってきています。
そこで、ベルギーやアメリカなどの国際的な研究グループは、健康な人を対象にして、スマホのマインドフルネス・アプリ(Headspace)による4週間のトレーニングが、恐怖を消す効果に影響するかどうかを調べました。具体的にはトレーニングを受けていた人とそうでない人のグループに、ある特定の画像を見たときだけ手に軽い電気ショックを感じる実験を受けてもらいました。すると、その画像を見たときにだけ、手に汗をかいてしまうようになります。その後、その画像を見ても電気ショックを受けないという状況も経験してもらいました。こうして研究グループは、トレーニングを受けた人とそうでない人で、心の状態によって汗をかいてしまう反応(恐怖心)がどのように変化するのかを分析しました。
恐怖感をうまくコントロールできるように
ここから判明したのは、マインドフルネスのトレーニングを受けたグループは、恐怖感を心から消す能力が高くなっていることでした。実験の参加者はある特定の画像を見て最初は電気ショックを感じましたが、その後は電気ショックを感じなかったので恐怖心を感じづらくなったよう。マインドフルネスのトレーニングをすると、恐怖心が消えた状態がその後も続くとわかりました。一方、トレーニングをしていないと、最初の記憶が残って恐怖心がどうしても勝ってしまい、手に汗をかきやすくなっていたのです。
こうした恐怖心や不安の気持ちはふだんの生活でも感じることがあります。マインドフルネスをとり入れることで、厄介な不安感をうまく消していける可能性があるよう。仕事のときなど、静かに気持ちを落ち着けてマインドフルネスの時間を確保してみるのもよいかもしれません。
<参考文献>
Sci Rep. 2019 Dec 27;9(1):19896. doi: 10.1038/s41598-019-56167-7.
https://www.nature.com/articles/s41598-019-56167-7
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31882606
Mindfulness makes it easier to forget your fears
https://www.sdu.dk/en/om_sdu/Fakulteterne/sundhedsvidenskab/Nyt_SUND/Mindfulness_makes_it_easier_to_forget_your_fears