頭痛は、セルフケアである程度は予防することができます。でも、その前に自分の頭痛をよく知ることが大切。片頭痛と緊張型頭痛ではセルフケアが異なる場合もあり、間違ったセルフケアで頭痛が悪化してしまうことも。自分の頭痛を理解する方法、頭痛に効くセルフケア法について富士通クリニック頭痛外来の五十嵐久佳先生に伺いました。
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頭痛ダイアリーをつけよう
自分の頭痛は、片頭痛なのか、緊張型頭痛なのか、それとも合併型なのか、タイプを把握するためには、頭痛ダイアリーがおすすめです。片頭痛持ちの人は、月経、光、騒音、アルコールなどの誘発因子を自覚できるようになります。
「頭痛ダイアリーには、頭痛が起こったとき、どのような痛みだったか、痛みの程度、予兆や前兆、吐き気があったか、その日はどのように過ごしたかなどを手帳に記録します。片頭痛は、いくつもの誘因が重なって起こりますが、意外と自分がどんなときに頭痛が起こるのか、把握していない人も多いものです。記載して初めて、月経が始まるときに痛むと気づく人もいます。
頭痛ダイアリーをつけることで、頭痛のタイプや誘発因子がわかれば、頭痛への対処法を考えるときに役立ちます。例えば、月経が誘発因子になっているなら、その時期には残業をしない、飲み会には参加しないといった対策を立てることで、頭痛の悪化を避けることができます」(五十嵐先生)
下記イラストの頭痛ダイアリーを参考にしてみて。病院を受診するとき、自分の症状を伝えるときにも役に立ちます。
まずは食事、睡眠、入浴を見直す
セルフケアで、ある程度、頭痛を予防することができます。片頭痛、緊張型頭痛を起こす原因は、生活の中に隠れているもの。食事、睡眠や入浴など、基本的な生活習慣を見直してみましょう。
【食事】空腹でも片頭痛が! 食事は規則正しく
「食事の間隔があいて、血糖値が下がると、片頭痛が起こりやすくなります。また、炭水化物を抜いても、血糖値が上がらず片頭痛を招くことも。いきすぎたダイエットによる貧血でも、片頭痛の回数が増えます。栄養バランスのとれた食事を心がけましょう」(五十嵐先生)
チーズ、チョコレートなどは、片頭痛の誘発因子として知られていますが、すべての片頭痛持ちの人にあてはまるわけではないので、「食べても頭痛が起こらなかった」という経験があれば、それほど神経質に避ける必要はありません。
アルコールは、ワイン、日本酒などの醸造酒よりも、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒のほうが片頭痛は起こりにくいようです。
また、水分不足にも気をつけて。
「片頭痛持ちの人は、水分不足でも頭痛が起こりやすいので、ミネラルウォーターやスポーツドリンクなどで、こまめに水分補給を」(五十嵐先生)
【睡眠】寝不足でも寝過ぎてもダメ!
「睡眠は、片頭痛や緊張型頭痛の原因となる疲労、ストレスから心身を回復させる働きがあります。寝不足にならないように、自分にとって最適な睡眠時間を確保するようにしましょう。また、休日の朝は、少しゆっくり寝ていたいものですが、寝過ぎは片頭痛の原因になります。朝寝坊は30分までにと止めておきたいですね」(五十嵐先生)
【入浴】緊張型頭痛は入浴で改善することも
「緊張型頭痛は、入浴で体を温めることで改善することがあります。寝る前に、38~40℃のお風呂にゆっくりつかると、血行がよくなり、筋肉がほぐれ、緊張型頭痛の予防にもなります。疲労、ストレスを解消する効果もあります。ただし、片頭痛が起こったときは、入浴でかえって痛みがひどくなることがあるので、入浴したいときは、シャワー浴がおすすめです」(五十嵐先生)
【外出時】サングラスとストールを忘れずに
「片頭痛は、まぶしい光や急激な温度差も誘因になります。日差しが強い日はサングラスをかけましょう。室内外の温度差、エアコン対策にストールが一枚あると安心です」(五十嵐先生)
日々の工夫で、頭痛のない快適な時間を過ごしたいですね。
取材・文/海老根祐子 イラスト/クロカワユカリ