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【医師の新常識③】「緑茶」「バナナ」などがオススメ! やる気アップ、うつ病予防に役立つ食品リスト
誰でもがかかる病気といわれる「うつ病」。肩こりや疲れやすさ、気分の落ち込みなどは「うつ」の初期症状かもしれません。最新の研究では、さまざまな栄養の不足がうつ病を引き起こすこともわかっており、食による新たなアプローチが注目されています。今回は医師の工藤孝文先生の新著『医者の新常識 病気にならない最高の食べ方』から、うつ病によい食生活についてお伝えします。
Contents 目次
うつ病も、食事しだいでリスクを下げられる
昨今、日本では1年間に100万人以上がうつ病などの気分障害で治療を受けているとされ、うつ病はまさに誰もがかかる可能性のあるメンタル系の病気です。「食」はそのうつ症状の改善や、うつ病の予防でも注目されています。
「うつ病の患者さんには、深夜に食事や間食をして、朝起きられなくて朝食抜きになるような、生活リズムが乱れている人が多くいます。朝食をとることで生活にリズムができ、脳に必要なエネルギー源をしっかり確保することができます。また、さまざまな栄養素の不足が、抑うつなどの精神症状を引き起こすこともわかってきました」(工藤先生)
朝食をきちんととっている人はうつ症状が少ないという研究結果は、複数紹介されているそう。さらに、栄養面でも砂糖や油脂の多い料理、ファストフード、加工食品など栄養バランスの悪い食生活がうつ病のリスクを上げているという指摘もあります。
オススメの食品・食べ方、ポイントは4つ
1.まずは緑茶のうまみ成分でリラックス
「気分が落ち込むな……」と思ったら、まずは緑茶。緑茶には特有のうま味成分であるテアニンが含まれていて、リラックス効果や気分を落ち着かせる効果があります。
「うつになると肩こり、動悸をはじめ、疲れやすくなったり体重が減るといった身体症状や、自律神経失調症も起こります。これらの症状にも緑茶はオススメできます。温かいほうがホッとできるので、お湯で淹れてもらっていいのですが、テアニンが多く出るのは水出し緑茶です」
水出しにするとうま味・甘味のもとであるテアニンが豊富に抽出され、苦味・渋味成分のカテキンやカフェインが抑えられるのだそうです。
2.バナナや大豆食品などでセロトニンの原料をつくる
うつ病はセロトニンなど神経伝達物質が不足して起こる病気と考えられており、そのセロトニンの原料となるのがトリプトファンです。
「トリプトファンは体内では生成されない必須アミノ酸なので、食事でとらなくてはいけません。トリプトファンが豊富なのは、牛・豚・鶏の肉やレバー、かつお、まぐろ、すじこ、たらこといった魚介類や、豆腐、豆乳、納豆など大豆製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトなど乳製品、そしてバナナといった食品が挙げられます」
セロトニンをつくるには日光を浴びることが必要なので、これらを朝食でとり、通勤や散歩で太陽の光を浴びましょう。そのうえ、よくかんで食べると、同じリズムをくり返す運動でセロトニンの分泌がよくなる相乗効果も。
3.DHAやEPAを含む青魚は脳機能の回復に◎
抗酸化作用のある成分としてよく知られるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)。
「DHA やEPAは最近、うつ病の改善にも有効であるという研究結果が多数発表されています。血液中のDHA濃度、EPA濃度の高い人と低い人で“抑うつ”状態が違うかどうかを調べたところ、DHA、EPAともに濃度が高いほど“抑うつ”状態になる人は少なく、リスクはおよそ半分から6割くらいになるという報告はその一例です」
DHAやEPAには神経細胞を守って自己治癒力を高める作用があり、脳機能の回復に効果があるとのこと。これらの成分を含むのは、さば、さんま、あじ、いわし、かつお、まぐろなどです。
4.水溶性食物繊維で腸を整え、脳も元気に
脳や心の状態には腸内環境も大きくかかわっています。
「腸は脳と直接つながって相互に影響しているので、腸内環境を整えておくことの大切さも指摘されています。腸内細菌が免疫機能にかかわっていることは以前から知られていましたが、人間の体質は、遺伝子よりも腸内細菌の影響が大きいとさえ言われるようになりました。それだけでなく、思考や感情、性格といった精神活動まで関係していることが判明してきたのです」
善玉菌を増やして、腸内環境をよくするためには、ヨーグルトや納豆などの発酵食品とともに、水溶性食物繊維をとることが大切。水溶性食物繊維が豊富なのはりんご、みかん、にんじん、キャベツ、トマトといった果物や野菜、また寒天、こんぶ、わかめといった海藻類です。
「最近やる気が起きない」と思ったら、これまで紹介してきた食品を意識してとり入れてみましょう!
文/庄司真紀
参考書籍
工藤孝文著『医者の新常識 病気にならない最高の食べ方』(さくら舎)