チーズ大好き!という人も、あまりたくさん食べると乳脂肪や塩分がちょっと気になるかもしれませんね。そんな人には朗報。毎日チーズを食べると、塩分をとりすぎて血管の働きが悪くなってしまう症状が逆に改善されるという報告がありました。どんなメリットをもたらしてくれるのでしょうか?
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塩分が多い食事にチーズを加えると…
塩分をたくさんとりすぎると、血管が広がりにくくなるなど、血管の働きが悪くなると知られています。最近の研究によると、この背景にある要因のひとつが「活性酸素」。活性酸素が血管にダメージを与えてしまう可能性があるのです。血管の健康という点で、乳製品をとると血圧が下がる、動脈がかたくなりにくくなると示した研究も。チーズは塩分も多いともいわれますが、塩分と血管へのメリットはどのように関係してくるのでしょう?
今回、米国の研究グループは、チーズを食事に加えた場合に血管の働きがどうなるかを調べました。11人の参加者に塩分を減らした食事(減塩食:塩分1日約3.8g)と増やした食事(高塩食:塩分1日約14g)にそれぞれチーズ(1日170g)を加えたものと加えないもの、4パターンの食事を8日間ずつとってもらい、最後の日に血管がどれくらい広がるかを測定する検査をして結果を比較しました。検査では血管を広げる薬を注射しますが、同時に活性酸素を減らす抗酸化物質を注射した場合としない場合とでも、結果を比較してみました。
活性酸素を減らす効果
比較の結果としてわかったのは、チーズによって塩分の悪影響が打ち消されるということでした。基本の減塩食(チーズを加えないもの)に比べて、高塩食をとったあとはやはり血管があまり広がりませんでしたが、チーズを加えた場合は減塩食でも高塩食でも、基本の減塩食と同じように血管が広がるという結果に。検査時に抗酸化物質も注射した場合は、チーズを加えない高塩食で血管が広がるようになりましたが、ほかの3パターンの食事では特に変化は見られませんでした。つまり、抗酸化物質の助けがなくても、活性酸素のレベルを低く保つことができた可能性があるのです。
チーズは、食事に含まれる塩分が多くても、活性酸素を減らす作用によって血管のダメージを防ぎ、血管が広がるようにサポートする役割をもつのではないかと研究グループは結論しています。そして、チーズに含まれる塩分は、乳製品以外からの塩分とは違う作用をもつ可能性があり、塩分が多くなりがちな人でも心臓病予防に効果が期待できるかもしれないとしています。
<参考文献>
Dairy cheese prevents sodium-induced vascular dysfunction by reducing superoxide levels
https://nutrition.org/dairy-cheese-prevents-sodium-induced-vascular-dysfunction-by-reducing-superoxide-levels/
J Nutr. 2020 Jan 1;150(1):55-63. doi: 10.1093/jn/nxz205.
https://academic.oup.com/jn/article/150/1/55/5556064
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31504721