Share
-
お気に入り
231
婦人科医の松村圭子先生(成城松村クリニック院長)に、「生理」や「女性ホルモン」など、女性の体についてわかりやすく教えていただく連載。読めば、自分の体や心と上手に付き合える"優秀ホルモンヌ"になれます!
今回は、体の冷えと生理痛の関係、効率的な体の温め方について、松村先生に教えていただきます。
- 監修
- 松村 圭子
体が冷えると、生理痛が悪化しやすい理由とは
こんにちは。婦人科医の松村圭子です。
寒い時期は、生理痛が重くなりやすい人もいるのではないでしょうか。
生理痛には、プロスタグランジンという痛みの原因物質が関わっていて、この物質には子宮を収縮させて経血を出す働きがあります。
体が冷えて血流が滞るということは、プロスタグランジンが体内に残って、速やかに排出されないということ。そのため、冷えによる血流悪化で、生理痛が重くなりやすいのです。また、冷えると子宮の筋肉が硬くなって、経血を出すときにスムーズに収縮できなくなることも、生理痛につながります。
次の方法で、おなかや腰の周りを温め、血流をよくしましょう。
生理中の体の冷えを防ぐポカポカ作戦
・カイロを「おなか」と「腰」に貼る
カイロを貼る位置は、おへその下、腰は仙骨(骨盤の中央)のあたりです。おなかと腰ではさむようにして子宮の周りを温め、血流を促します。
・座っているとき、ひざかけをかける
脚の付け根には太い血管が通っているので、ここを温めることで効率よく全身を温めることができます。座ってテレビを観ているとき、デスクワーク中などは、ひざかけをかけましょう。また、ペットボトルの湯たんぽ(500mlのペットボトルに40℃程度のお湯を入れ、タオルを巻く)を、脚の付け根にのせてもいいですね。
・締めつけない腹巻きをする
おなかを締めつけるインナーは血行を悪くするので、ゆとりのあるサイズの腹巻きを選びます。パンツと一体になっている腹巻きなら、上にズレてきません。
・全身浴をしてから半身浴をする
生理中もシャワーだけで済まさず、湯船に浸かって体を温めます。38~40℃の湯で、最初は湯船に沈みこんで全身浴(5分)。次に半身浴(15分)をしましょう。半身浴をしているとき、上半身が冷えるようなら肩にバスタオルをかけて。
熱を生み出せる体質になって、生理痛を防ぐ
前述した方法は「体を温める」方法です。冷えにくい体をつくるには、「熱を生み出せる体質」をめざしましょう。
熱を生み出すには、筋トレなどで筋肉をつけ、普段からよく歩くようにします。スクワットなど、下半身の大きな筋肉を使うトレーニングを取り入れてもいいですね。歯磨きをしながらスクワットをするなど、できることからはじめてみてください。
また、熱を生むためには、たんぱく質など筋肉の材料になる栄養素をしっかりとり、食事のエネルギーが不足しないようにすることも大切です。
生理痛が出てから対処するのではなく、普段から栄養をバランスよくとり、適度な運動をして筋肉をつけ、血流のいい健康な体質をつくっていきましょう。
取材・文/掛川ゆり
-
-
松村 圭子
婦人科医。成城松村クリニック院長。日本産科婦人科学会専門医。元大妻女子短期大学非常勤講師。広島大学附属病院などの勤務を経て、2010年、成城松村クリニック開院。西洋医学のほか、漢方薬、サプリメント、プラセンタ療法などを治療に取り入れている。雑誌、Web、テレビなどメディアを通して、女性ホルモン、生理、更年期などについてわかりやすく解説。また、健康食コーディネーター、生涯学習インストラクター、女子栄養大学食生活指導士、食生活アドバイザー2級の資格を取得し、食事面の実践的なアドバイスも行う。著書『女30代からのなんだかわからない不調を治す本』(東京書店)、『女性ホルモンを整えるキレイごはん』(青春出版社)など。
Share
Share
-
お気に入り
231