子宮がんは女性にとって身近ながんのひとつ。子宮がんには、子宮体がんと子宮頸がんがあります。これまで家族に子宮がんにかかった人がいる場合には、子宮がんになりやすくなると考えられていましたが、このたび英国の研究グループは遺伝的な関連について分析。24か所の遺伝子ががんのなりやすさと関連しているとわかりました。がんと遺伝との関係を考えるためのヒントになりそうです。
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子宮がんと遺伝との間に関連は?
国立がん研究センターの統計によると、子宮がんは日本では32人に1人がかかるがん。子宮がんにかかる人も、この病気で亡くなる人も年々増えており、日本の女性にとって子宮がんは身近な問題のひとつです。
これまで子宮がんの一部は遺伝とも関係しているとされ、家族で子宮がんになった人がいるならば一層の注意が必要と考えられていました。子宮がんには早い段階で見つかることの多いタイプ1と、進行した段階で見つかることが多いタイプ2があると考えられています。ただし、こうした違いの背景にある理由についてはよくわかっていませんでした。
遺伝的な原因として、30億の塩基からなるDNA配列の1つの塩基ごとに個人差が存在しているのですが、一定の頻度で見られる1塩基の変化である「SNP(スニップ、一塩基変異)」の違いからがんのなりやすさが変わるとわかっています。SNPはすべてのゲノム中に400万~500万存在すると考えられており、このたび英国の研究グループがこれまでの研究を分析して、こうしたSNPのパターンと子宮がんとの関連について報告しました。
「SNP」の違いで差が生まれる
判明したのは、24か所のSNPが子宮がんと関係しているということです。SNPは何かの遺伝子のなかに存在しており、その遺伝子の働きに影響する可能性があります。このたびわかったSNPは細胞が増えたり、女性ホルモンをつくり出したりする働きと関係していることもわかりました。なかでも関連性が強いと見られたのは19か所のSNPでした。
研究グループは、24か所の遺伝的な特徴をもっている女性は2~3倍の子宮がんのリスクになると計算。なお、乳がんでは数百のSNPの関連が考えられており、子宮がんも関連のSNPはさらに存在するのではないかと推定しています。
遺伝との関連について理解が深まってきており、親族にがんの人がいるという人は気をつけたいところです。また、こうした場合に限らず体に違和感があるときには検診を受けたか否かによらずに意識的に医療機関に足を運ぶのは大切です。
<参考文献>
Twenty four genetic variants linked to heightened womb cancer risk https://www.bmj.com/company/newsroom/twenty-four-genetic-variants-linked-to-heightened-womb-cancer-risk/
J Med Genet. 2020 Feb 17. pii: jmedgenet-2019-106529. doi: 10.1136/jmedgenet-2019-106529. [Epub ahead of print] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32066633