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「仕事中にランチ休憩がとれない」 その背景にある心理は…罪悪感? 海外研究からわかったこと
在宅勤務が続くと、仕事と休憩の境界線があいまいになりがち。オフィスに出勤すると、社員食堂や外食でまとまったランチタイムがしっかりとれても、自宅だとついついパソコンの前に座ったまま、仕事をしながらランチを済ませてしまっている人も多いかもしれません。このたび海外でランチタイムに休憩をとることへの罪悪感に注目した研究がありました。休みをとることをためらう心理について、その背景を調べたのです。
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英国人135人のランチタイムの過ごし方を調査
日本では働き方改革が以前から強調されており、働き方も大きく変化しました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生で、働き方の改革は決定的になったところもあるかもしれません。オフィスでも、在宅勤務でも、一度仕事を始めると、際限なく働き続けてしまい、休憩をとるのを控えてしまうという場合も少なくないかも。単に没頭しているだけならばいいですが、罪悪感がその裏にあるとしたら少し不思議なことかもしれません。
このたび英国スタッフォードシャー大学の研究グループは、働く時間のなかに適切に休憩をとり入れる大切さに注目。ランチタイムの休憩時間が法的に権利として認められているにもかかわらず、多くの人が休憩をしっかりとることに罪悪感をもっているのではと考えたのが出発点です。研究グループは、地元の自治体に勤務する公務員を対象に、ランチタイムの休憩のとりかたについて分析。調査対象者をあらゆる役職を含んだ27人ずつの5グループに分け、グループインタビューを行いました。そのうえで、罪悪感の背景を導き出していきました。
理由は複雑、誘ったり誘われたりすると休憩しやすい
分析からは、たしかにランチの休憩をとることをためらうような気持ちをもつ人はいるようでした。背景にある要因をテーマで分けると、「行動の背景には多様な要因がからんでいる」「職場の人間関係や社交上の影響を受ける」「仕事が忙しいと休憩よりもそちらを優先させる」「休憩をとることに対して不安や罪悪感がある」「デスクで休憩をとれば完全に仕事から離れずに済むと感じている」という5つが浮かび上がってきました。休憩をとる行為は、他者やまわりの環境と複雑に関係していることが明らかになったといいます。
また研究グループは「仕事中にデスクに座りっぱなしで体を動かさないことの健康問題は深刻になっており、心身の健康のためにも仕事より休憩をしっかりとることを優先するのが大切」と提言しています。また「同僚を休憩に誘ったり、上司が休憩を促したりすると休憩がとりやすくなり、物理的に誰も近くにいない場合はそれが難しくなる」とも研究グループは指摘します。
研究グループは今回の分析を、調査対象の職場の改革に生かしています。日本でもポストコロナ時代の新しい働き方として在宅勤務が導入されるなか、心と体の健康管理に気をつけて、休憩時間を意識的に確保するようにするとよいかもしれません。
<参考文献>
Why do so many of us feel guilty about taking a lunch break?
https://www.staffs.ac.uk/news/2020/06/why-do-so-many-of-us-feel-guilty-about-taking-a-lunch-break
Oliver M, Rodham K, Taylor J, McIver C. Understanding the psychological and social influences on office workers taking breaks; a thematic analysis [published online ahead of print, 2020 May 20]. Psychol Health. 2020;1-16. doi:10.1080/08870446.2020.1764954
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32432900/