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浮気や不倫はなぜ許されない? 「別れる」「別れない」の差はどこにあるのか、海外研究で明らかに

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指に描いた人の顔

カップルが別れる理由として最もよく挙げられる「浮気」や「不倫」。160か国を対象に調べた研究からこれは世界共通であると報告されています。浮気とひと口に言っても、女性だと許せても男性ではどうしても許せない、あるいはその逆、男女でのとらえ方の違いなどで結果も変わってくるように思えます。このたびカップルの関係にいちばん影響してくる理由について海外から報告されています。

監修 : 星 良孝 <ステラ・メディックス>

ステラ・メディックス代表取締役社長 獣医師/ジャーナリスト
専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修を担っている。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BP社において「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。YouTubeステラチャンネルでもヘルスケアの話題を発信。
YouTube:https://youtube.com/@stellach

Contents 目次

別れる原因は浮気のタイプ? 男女の違い?

2人の女性と1人の男性

著名人の浮気や不倫がメディアで報じられ、その著名人の評価が失墜するというのは古今東西共通のこと。最近では芸能人の話題として報じられることが目立っているかもしれませんが、芸能界に限らず地位のある人の浮気、不倫が発覚して当事者が地位を失うという話は少なくはありません。こうして明るみになったあと、結婚しているカップルであれば、その後に何事もなかったように関係を続けることがある一方で、破局に至ってしまうことも。たとえ結婚前でも関係にはヒビが入るでしょう。別れる、別れないにはどのような差があるのでしょうか。

このたびノルウェー科学技術大学(NTNU)心理学部の研究グループは92組のカップルを対象に、2つの浮気にまつわる仮想のシナリオを理解してもらい、そのときの感情的な反応を調べました。

研究グループは、浮気によって別れる理由について仮説を立てました。それは、人は自分にとって大きな脅威やコストになる間違った判断をできるだけ避けようとする、心理学の「エラー管理理論」と呼ばれる考え方があり、それが関係するということ。人には「パートナーは自分の浮気を決して許してくれないだろう」とネガティブに解釈する傾向があると想定。「ネガティブ・フォーギブネス・バイアス」と呼ばれていますが、これが強まることでそれをできるだけ避けようとして別れると考えたのです。

仮想のシナリオは、パートナーが他人とセックスする「体の浮気」と、体の関係はなくてもパートナーが他人に恋愛感情をもつ「心の浮気」が設定されました。自分が浮気した場合とパートナーが浮気した場合の両方を質問しています。そしてそれらに対する「浮気を許す気持ち」と、「浮気はきっと許されると信じる気持ち」の感情的な反応を分析しています。

浮気をどれだけ脅威と感じるかで決まる

男性に対して意見をぶつける女性

すると明らかになったのは、「ネガティブ・フォーギブネス・バイアス」の強い影響でした。対象者には、パートナーが自分を許してくれると信じる気持ちよりも、自分を決して許してくれないだろうと信じる気持ちのほうがより強く表れていました。これは男女共に、「心の浮気」と「体の浮気」いずれの場合でも同様でした。

そして、性別や浮気の種類に関係なく、その浮気がふたりの関係に対しどれだけ脅威と感じられるかが、別れてしまういちばんの原因であることが示されました。男女共に浮気はどんな種類であれ許せないと思っていましたが、「心の浮気」の場合、どれだけ相手を非難するか、そしてどれだけ相手と距離を置こうとするかが、相手を許そうとする気持ちに大きく影響していることがわかりました。浮気した側への非難の程度が強いほど、関係を続けるのが難しくなるのです。

またネガティブ・フォーギブネス・バイアスの影響の現れ方は、男女間で多少違いがみられました。「心の浮気」の場合、男性は女性に比べて、ネガティブ・フォーギブネス・バイアスの影響が明らかに少なく、つまり男性にとって「心の浮気」は許してもらえるもので、「体の浮気」ほどふたりの関係に対して脅威とはなり難いと、とらえられていました。その一方で「体の浮気」の場合、罪悪感や非難の程度に関係なく、パートナーからそう簡単に許されるわけではないと、とらえられていることが明らかに示されました。

もちろん、これはそれぞれの性格や状況で大きく違ってくるものです。しかし今回の研究結果では、人はポジティブな情報よりもネガティブな情報を優先的に信じてしまう傾向があることがあらためて示され、「絆が強そうなカップルの場合、浮気もうまく乗り越えられるだろうと思われがちだが、今回の研究ではそうとは示されなかった」と研究グループは指摘します。ネガティブなことをどうとらえるか、国内のニュースで報じられたカップルの顛末の違いもその辺りにあるのかもしれません。

<参考文献>

Grøntvedt, T., Kennair, L., & Bendixen, M. (2020). Breakup Likelihood Following Hypothetical Sexual or Emotional Infidelity: Perceived Threat, Blame, and Forgiveness. Journal of Relationships Research, 11, E7. doi:10.1017/jrr.2020.5
https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-relationships-research/article/breakup-likelihood-following-hypothetical-sexual-or-emotional-infidelity-perceived-threat-blame-and-forgiveness/AE402B54CC6987C48BC2052706602FEE

How women and men forgive infidelity
https://norwegianscitechnews.com/2020/07/how-women-and-men-forgive-infidelity/

Bendixen, M., Kennair, L. E. O., & Grøntvedt, T. V. (2018). Forgiving the unforgivable: Couples’ forgiveness and expected forgiveness of emotional and sexual infidelity from an error management theory perspective. Evolutionary Behavioral Sciences, 12(4), 322–335. https://doi.org/10.1037/ebs0000110
https://psycnet.apa.org/record/2017-43585-001

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