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心理カウンセラーがアドバイス! コロナ禍の“ストレスあるある”対処法 ~不安と怒りの処方箋②~
新型コロナウイルスの感染拡大により一変した私たちの生活。一人ひとりが自分の行動や生活の在り方について選択・決断に迫られています。なかには「旅行へ行こうか、やめたほうがいいか」などの選択に悩んだり、他人の行動や視線に過敏になってストレスを感じているという人もいるのではないでしょうか。こういった際に、心を乱さないための考え方として、心理カウンセラーの大嶋信頼先生が教えてくれたのが、「快」か「不快」で判断するということ。「快」「不快」を意識し自分の素直な気持ちと向き合うことで、ストレスを減らすことができるそうです。
Contents 目次
まず「自分がどうしたいか」に向き合ってみる
みんなが一様に「自粛する」という状況を抜け規制が緩和されてくると、自分で行動を「選択」をすることも増えました。会食、旅行、帰省…。これまで控えていたことを再開し始めた人がいる一方、感染やまわりの目が気になるなどで、迷ったり、控えたりする人も。
そして、今、再び感染が広がるなか、ますます個々人の選択や判断が求められるように。こうした状況に心が揺れ、ストレスをためてしまう人も多いのではないでしょうか。
「このようなときストレスを感じてしまうのは、『正しい、正しくない』とか『常識、非常識』、あるいは、他人に気を遣って選択をしているから。すると、本心とは裏腹な選択をしてしまい、その結果、『私はガマンしているのに!』といった、不満や怒りが強くなってしまいます」(大嶋先生)
気軽に旅行する人などを見て、「みんな、非常識では?」「私だって行きたいのに!」、そんな思いを抱いてイライラ…。心当たりがある人もいるかもしれません。
では、このような感情にふり回されないためには、どうすればいいのでしょうか。
「基本は自分自身の『快』『不快』に従って判断をすればいいんです。旅行に行くことが、快ならば、行く。誘われたけど、感染が不安で気乗りしないという場合は、行くことが不快なのだから、行かない。まわりの目や世間の常識、相手の気持ちを基準にして判断するのではなく、まずは『自分がどうしたいか』。もちろん、ルールや決まりにのっとることは大前提ですが、自分の『快』『不快』が何を考えることで気持ちが整理されてきます。その意識に向き合って選択すれば、ストレスもたまりません。心を乱さないためには、『自分が不快なことはしない』のがいちばんです」
とはいえ、たとえば「誘われたけれど、断れなくて」など、“致し方なく”というケースもあるでしょう。
「この場合、一見、本心とは逆の行動を選んでいるようにも思えます。でも、断って相手の機嫌を損ねてしまったら…ということのほうが、『不快』なこともあります。自分の気持ちとは違う選択をして損をしているのではないかとストレスを感じるかもしれませんが、じつは無意識のうちに『不快』を避けた、自分の本意による選択の場合もあるのです。そう聞いて『あ!そうか』と思えた人は、少し心が軽くなったのではないでしょうか」
なかなか思い通りにいかないことも多いコロナ禍ですが、こういった不満やストレスが起こる仕組みを理解して気持ちを整理することも、ストレスをためないためのコツのようです。
うわさやデマに振り回されないためには?
このコロナ禍において、トイレットペーパーを“買いだめ”する人が続出したことも、印象的な出来事です。「在庫は豊富にあるから、大丈夫」「なくなるといううわさは、デマ」といった報道がなされているにもかかわらず、ドラッグストアには早朝から行列ができました。そんな光景を見て、「自分は、危機感が足らない?」「並んだほうがいいのかな?」と、不安を感じた人もいたのではないでしょうか。
今後、また同じようなデマが広まった場合、どういった行動をとるべきなのか…。それもまた、自分の「快」「不快」に従って判断すれば、ストレスはたまりにくいと、大嶋先生。
「たとえデマであっても、トイレットペーパーを備蓄することで『快』を感じられるのであれば、買う。デマなのに並ぶのは『不快』、買いだめして、白い目で見られるのは『不快』と思えば、その必要もない。『快』『不快』でひとつずつ片づけていけば、自分の本意が見えてくるはずです」
また、大嶋先生によると、デマを真に受けてしまったり、ふり回されてしまったりする人は、情報を疑わないばかりか、「あなたのために」という親切心から身近な人たちに広めてしまう傾向もあるそう。
そのようなことも留意しながら、相手の気持ちや世のなかの風潮に同調するばかりではなく、自分の「快」「不快」に従う。そのことを意識しておけば、あふれかえるさまざま情報に対する不安や焦りなども減らせそうです。
「どんなことにも人それぞれの『快』『不快』があるもの。自分自身の素直な気持ちや感覚と向き合い、大事にすることは、このコロナ禍を少しでも心穏やかに過ごすための手立てになるでしょう」(大嶋先生)
取材・文/柿沼曜子