人々がより気軽に取り組める臨済宗建仁寺派 両足院副住職の伊藤東凌さんの『月曜瞑想』。感覚を研ぎ澄ますことで、幸せをキャッチし、人間関係を円滑にすることにもつながっていきます。この瞑想で得た感覚を日々、微調整するために伊藤さん自身も行っているというのが、『生活瞑想』です。日常の作業も五感を使って、あえて時間をかけることで心を整える瞑想の時間となるのです。新著『心と頭が軽くなる 週はじめの新習慣 月曜瞑想』から3つの生活瞑想をお伝えしましょう。
Contents 目次
〈家事瞑想1〉
最後の食器だけを布きんで拭き上げる「食器拭き瞑想」
食洗器を使わず、食器を手洗いして、ふきんで拭き上げる瞑想です。自分本来の感覚がどんどん開いていきます。
「お皿、グラス、お茶碗などどれでもいいので1つだけ食洗器にかけず、手洗いしてから、ふきんを使ってていねいに拭き上げます。一度拭いただけでは、水滴を完全には拭きとれません。食器から水滴がなくなるまで何度も拭きましょう。拭いているときに、食器の形状や模様の美しさを発見することもあります」(伊藤東凌さん)
〈家事瞑想2〉
宅配便の荷物をていねいに開封し片づける「開封瞑想」
宅急便を利用することも多くなった昨今。荷物をていねいに開封することも瞑想の時間になります。
「段ボール箱がガムテープで止められている宅配便が届いたときは、箱を閉じているガムテープを乱暴にはがさず、段ボールからテープがはがれる音に耳を傾けながら、端からきれいにはがしていきます。箱を開けて中身を取り出したら、箱の裏側のテープも同じように端からていねいにはがします。表側も裏側もガムテープをはがしたら、最後に段ボールをきれいにたたみます。ミシン目がついた箱の場合は、ミシン目に沿ってきれいに開封しましょう。手の感覚に意識を向けてていねいに引っ張ると、段ボールの裂ける音が心地よく聞こえてきます」
〈休憩瞑想〉モノを1分間眺める「眺める瞑想」
1日に1個、なんでもいいので1分間モノを眺める「眺める瞑想」です。
「モノをじっと見る。この行為は簡単そうでじつは難しいものです。『これは本』『これはスマホ』とモノを認知するのは1秒もかかりませんが、15秒以上同じものを見続けなさいといわれると飽きてきます。テレビコマーシャルが15秒単位なのも、『Tik Tok(ティックトック)』の動画が15秒なのも、それが背景にあります」
「眺める瞑想」をくり返していると、細かいことに気づけるようになるといいます。
「いつも使っている食器でもいかに自分が大雑把にとらえていたのかがわかります。じっと眺めていると、くぼみがあったり、左右非対称のデザインになっていたり、曲線が美しく見えたりなど、新しい発見があります。瓶のふたや缶、それからいつも自分のお尻の下にある座布団など、いつもはじっくり眺めることのないものを見てみるのもオススメです。よく見ると、ひとつひとつに個性があるのがわかります。いつも使っているものだとしたら、これまで以上に愛着も沸いてきます。
自分がどういうものに美しさを感じるのか、どういうものに心が動かされるのか、逆に受けつけないのかに気づけるのも“眺める瞑想”です」
忙しい生活のなかでも休憩がてらにとり入れたい生活瞑想。「月曜瞑想」のように月曜の朝という時間の縛りはなく、「ちょっと感覚が鈍ってきたかな」「心がざわついてきたかな」と感じるときに気軽に試してみてください。
文/庄司真紀
参考書籍
『心と頭が軽くなる 週はじめの新習慣 月曜瞑想』(アスコム)