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「環境×デザイン!」国内外で10賞を獲得した北欧デンマークのショッピングセンターのとり組みとは?
世界トップクラスのSDGs先進国である北欧デンマーク。デンマークに住む筆者が、5回にわたり興味深いSDGsの事例を取り上げていくこのコーナー、第1回目の今回は、約90の店が入り、最新のファッションから身近な生活雑貨、食料品まで幅広く買い物を楽しむことができる、とあるショッピングセンター のとり組みをご紹介します。
Contents 目次
10個の賞を獲得! セレブなエリアにあるオシャレなショッピングセンター
北欧デンマークの首都コペンハーゲンのフレデリクスベア地区は、セレブにも人気の洗練された高級感のあるエリアです。自然豊かな広い庭園があり、閑静な住宅地もあり、トレンドの最先端を行くオシャレなショップやカフェが建ち並んでいます。
この地区のメトロの駅とつながっているフレデリクスベアセンターは、2015年にリニューアルオープンして以来、国内外で10賞を獲得している ショッピングセンターです。改装後のモダンでオシャレなデザイン性や環境へのとり組みが評価され、リノベーション賞やサステナブル賞を受賞したほか、世界のすぐれたショッピングセンターに贈られるVIVA BEST OF THE BEST賞 を北欧で初めて受賞しています。また、北欧やデンマークのベストショッピングセンターにも選ばれています。
リノベーションにより、北側と南側は温熱環境と光環境を最適化させるモダンなファブリックファサード(正面から見た外観に織物をあしらっていること)へ。デザインは日本の折り紙からインスピレーションを得ているそうで、夜には膜(まく)全体がやわらかい光に包まれます。
地上に突き出しているピラミッド型のガラスはメトロの駅の天窓。手前はメトロの駅に通じる階段です。ショッピングセンターの地下は駅とつながっています。
環境にやさしい建築! 自然換気×太陽光発電×水を使わないトイレ
フレデリクスベアセンターでは、機械換気をせず、自然換気のみで室内環境を整えています。窓の自動開閉による自然換気を行っており、機械換気に比べて健康な室内環境を保てるうえに、CO2排出量を抑えられます。尚、空気の入れ替えは季節に応じて必要頻度が異なるため、季節に合わせて開閉頻度も調節されます。
また、屋根にはソーラーパネルが敷かれ、太陽光発電で電力を生産しています。生産される電力量は年間552245kWh、つまり125世帯の1年間分の電力使用量に相当します。その電力を利用したポンプで製造された冷水は、パイプを通じて運ばれ、周辺地域の冷房として使われます。いわゆる、冷水を使った地域熱供給です。 そのほかにも、電気自動車用の駐車スペースや、水を使用しないエコでクリーンな男性用無水トイレ の設置など、ユニークな仕組みがあります。
不要品を回収してリサイクルするショップが多数!
ショップをセレクトする上でもSDGsを意識していて、環境へのとり組みを行っているお店が多く入っています。
たとえば、複数のアパレルショップで、古着を回収し、1袋回収ごとに10〜15%オフのクーポン券を発券するというとり組みを行っています。古着は破れた服も含めてリサイクルされます。また、容器を返却すると次の訪問の際に10%オフにしてくれる化粧品メーカー、不要になったバッテリーや電化製品を回収してリサイクルしてくれる家電量販店もあります。その際、データを消去してリサイクルしてくれるので個人情報の面でも安心です。
不要なメガネをアフリカへ!
メガネ屋も2軒入っていて、1軒は古いメガネを洗浄・修理してガーナのクリニックに届け、もう1軒は、アフリカでニーズのある場所にメガネを提供する協会に、メガネを寄付しています。アフリカではメガネが教育機会や就労機会にも影響するため、メガネを届けることは大きな社会貢献になるそうです。
いかがでしたか。フレデリクスベアセンターは、一見、普通のオシャレなショッピングセンターなのですが、じつは建築的にとてもユニークで、さまざまなとり組みが行われていることを感じていただけたのではないでしょうか。
文・写真 針貝有佳