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脱プラは紙に置き換えれば解決? 知っておきたい「森林認証」のこと

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森林認証制度における、2つの認証「FM認証」と「CoC認証」

認証
出典=FSCジャパン ビジネス向けパンフレットより

「森林認証制度の仕組みとしてまず知っておきたいのが、認証にも2種類あるということです。

一つは、森林の管理に関する「FM認証」。これは、厳しい基準をもとにチェックを行い、適切に管理されていると認定された森林自体に付与されるものです。もう一つが、加工・流通過程の管理を認証する「CoC認証」です。FM認証を受けた森林から産出された木材を、適切に管理・加工しているかをチェックするもので、製材所や製紙会社、印刷会社、卸売業者などが受ける認証です。

たとえば紙製品は、木を切ってから消費者の手に届くまでに多くの企業が関わるのですが、生産、加工、流通に関わるすべての組織が認証を受けなくては、製品やサービスにFSC認証マークを付けることができません。非常に厳しい条件ではあるのですが、そうすることで『この製品がどのような工程を経て作られた紙製品なのか』という、トレーサビリティを担保することができるのです。

さらにこの認証は、独立した第三者機関によって中立的に審査が行われているのも特徴です。補足ではありますが、2つの認証制度でチェックする仕組みはPEFCも同様です」

森林保護はもちろん、SDGsの達成にも貢献する10の審査基準

SDGs
出典=FSCジャパン FSC原則と基準(第5版)紹介冊子より

FSC認証を受けるためには、厳しい審査基準をクリアしなくてなりません。とくに「FM認証」では、世界共通の10の原則と70の基準に基づいて審査が行われています。その特徴についても教えていただきました。

「『FM認証』の原則は、環境に関する項目だけでなく、社会や経済といった多角的な視点から成り立っています。たとえば、森林の計画的な管理ができているか? といった内容はもちろんのこと、そこで働く労働者の権利がきちんと守られているか、先住民の権利を侵害していないかなどさまざまです。これらのすべての基準について問題がないと判断された場合にのみ、認証が与えられています。

FSCの10の原則を見てみると、貧困や男女平等など、SDGsが掲げる17の目標に関係するものばかりです。さらに、2017年のSDGs進捗報告では、目標15『陸の豊かさも守ろう』の進捗を測る指標として『自主的な森林認証を取得している森林の面積の増加』が挙げられました。つまり、FSC認証マークがついた製品を選ぶことは、環境問題に加え、人権といった面でもSDGsの達成に貢献できると考えています」

森林資源を利用する、私たちが意識すべきこと

日常生活で毎日のように使用する紙製品。森林資源を利用する私たちが意識すべきこととは、一体何でしょうか?

「紙袋やコンビニで買うお菓子の箱などを見ると、『環境ラベル』と呼ばれるマークが印刷されていると思います。『環境ラベル』とは、環境負荷低減につながる製品やサービスに付けられるマークです。

今回紹介した、FSCやPEFCなどの森林認証制度マークもその一種です。他にも古紙を使っていることを示す再生紙マークや、環境に配慮した植物油を印刷インクに使っていることを示す植物油インキマークなど、さまざまなマークがあるので、まずは見つけてみてください。さらに、そのマークはどういう目的で付けられて、この紙製品はどういう風に作られたのか、というところも意識していただけたらうれしいですね」

今回インタビューを行った大昭和紙工産業も、FSC(CoC認証)を取得しているだけでなく、オリジナルの環境マークを作成しています。西嶋さんは、「製造した紙製品にマークを付与することで、環境問題を考えるきっかけにしてほしい」と話します。

「木を植えるマーク」と「海を植えるマーク」
大昭和紙工産業オリジナルの「木を植えるマーク」と「海を植えるマーク」。同社が製造する製品に付与することで、植林によるCO2排出削減や海洋プラスチックゴミゼロ活動といった取り組みへの間接的な支援に貢献できる。

「今、プラスチックの代替品として紙製品の需要は確実に高まっています。ですが、ただ安易に紙製品に切り替えるのではなく、やはり一歩踏み込んで考えて欲しいという思いがあります。大昭和紙工産業オリジナルの環境マークをご利用いただくことで、企業のみなさんにも、一般消費者のみなさんにも環境課題を意識してほしいと考えています。
弊社は、持続可能な資源である紙の加工製品を取り扱う会社です。しかし、紙だからといってなにもかもOKというわけではありませんし、ものを作る上ではどうしてもCO2を排出したり、エネルギーを使ったりします。だからこそ、メーカーが果たすべき責任として、環境課題に貢献していきたいという思いで活動しています。
現在は、環境配慮型の製品開発や『カンキョーダイナリー(環境>)』というサイトを通じて、環境問題に関する情報発信をするなど、さまざまな取り組みを行っています。これからも『紙で環境対策』のスローガンのもと、みなさんと一緒にサステナブルで地球に優しい社会の実現を目指していきたいです」

木は、管理された森林を適切に利用することで、将来的にも利用できる持続可能な資源。大切な森林を守るためにも、森林認証を受けた森から作られた紙製品を選ぶなど、意識的な選択で環境課題に目を向けてみませんか。

Profile

西嶋 裕之

大昭和紙工産業 マーケティング室・紙で環境対策室 主任 / 西嶋 裕之
美術大学卒業後、デザイン事務所勤務を経て入社。紙を通して環境に関する新しい取り組みにチャレンジする「紙で環境対策室」に所属。ソーシャルグッドな情報コンテンツを発信する「カンキョーダイナリー(環境>)」の運営や、環境配慮型の商品開発などに携わっている。

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