衣替えの際の必須アイテムといえば、衣類を虫やカビから守る防虫剤や防カビ剤。手軽に使える一方で、化学的物質を使用しているものが一般的で、身体への影響や環境への負荷も気になります。そこで注目したいのが、天然の香料を使った防虫剤。アロマテラピーなどで用いられる、植物から抽出したエッセンシャルオイルを使ったものです。
どんな香りが虫を寄せつけないのか、また、エッセンシャルオイルを使った手軽な防虫剤の作り方を、アロマセラピストの橋本裕子さんに教えていただきました。
Contents 目次
防虫剤には防虫効果のある「パチュリ」と「カンファー」を
「エッセンシャルオイルは植物から抽出した天然の成分です。植物が生命活動を通じて育んだ有効成分をそのまま利用でき、ブレンドすることで好きな香りにアレンジすることができるのも魅力です」と橋本裕子さん。
「防虫効果があるといわれる代表的なエッセンシャルオイルに『パチュリ』と『カンファ―』があります。これらは昔から衣類の防虫剤・芳香剤として使われてきました。『パチュリ』はシルクロードの時代より布を運ぶ際にその葉を挟み、防虫剤として使用してきたと伝わっています。また『カンファー』は古代バビロン王宮の宝物の一つとして秘蔵されていたほどだそうです」(アロマセラピスト・橋本裕子さん、以下同)
パチュリ
葉を発酵させて抽出。エキゾチックで上品な香り。リラックスできる香りとして墨汁にも使われていることがあります。
カンファー
クスノキの木部から水蒸気蒸留で抽出。フレッシュでツーンとした香り。日本でも古くから防虫剤として使われてきました。
エッセンシャルオイルを衣類ケアに使う理由
「防虫剤としてのエッセンシャルオイルのもう一つの魅力は、デオドラント(=消臭)効果です。エッセンシャルオイルと香水、どちらもいい香りがして同じように思われるかもしれませんが、実はまったく違います。香水は合成香料なので、良い香りが安定して長く続きますが、悪臭をマスキングできても根本から断つことはできません。一方、エッセンシャルオイルは自然の植物から抽出された有機物で、悪臭の成分と化学変化を起こしながら中和消臭してくれます。そのため、悪臭が染みつきやすい繊維質の衣類ケアには、消臭効果のあるエッセンシャルオイルがおすすめなのです」
エッセンシャルオイルは何に染み込ませる?
「エッセンシャルオイルは紙や布などに染み込ませても使えますが、防虫剤として使いやすいのは、木製のブロックやキューブ、ソラの木の皮で造られたソラフラワーなどを使う方法です」
ウッドキューブ(左)とウッドブロック(右)使う場所に合わせて選びます。
「木製のブロックやキューブには、ヒノキやヒバなど、それ自体に芳香や抗菌・防虫作用があるものもありますし、廃材を使って作ったエコなものもあります」
「ソラフラワーとは、東南アジアの水辺に生息するマメ科の植物を薄いシート状にして作った造花です。見た目もかわいらしく使い勝手もいいのですが、壊れやすいので、タンスや衣装ケースに入れるよりクローゼットに吊り下げて使うのがおすすめです」
繊細で見た目も楽しめるソラフラワーは、アロマショップやネットなどでも購入できます。
エッセンシャルオイルを使った防虫剤の作り方
それでは、実際に防虫剤を作ってみましょう。まずは一番シンプルなものから紹介します。
【準備するもの】
・パチュリのエッセンシャルオイル
・ウッドブロック
・小さな巾着(綿や麻、オーガンジーなど)
【作り方】
1.ウッドブロックにエッセンシャルオイルを垂らす。
ウッドブロックを2個1組にし、片方の広い面にパチュリのエッセンシャルオイルを1〜2滴垂らします。
2.パチュリのエッセンシャルオイルを塗り広げる。
ウッドブロックを2個、広い面をこすり合わせるようにしながら、液体を面の全体に塗り広げます。
3.巾着に入れる。
パチュリのエッセンシャルオイルを塗った面を合わせて袋に入れます。タンスや衣装ケースに1個、香りがなくなったら同様にして何度でも使えます。「防虫効果があるエッセンシャルオイル1種類でも十分ですが、ブレンドすると楽しみも広がります。巾着は、ジュエリーを買ったときにもらえる小さな袋や子供のいらなくなった靴下など、何でも代用できます」
次に紹介するのは、ウッドキューブを使ったブレンドタイプです。
【用意するもの】
・パチュリのエッセンシャルオイル
・カンファーのエッセンシャルオイル
・ローズウッドなど好みのエッセンシャルオイル
・ウッドキューブ
・小さな巾着(綿や麻、オーガンジーなど)
1.巾着にウッドキューブを入れる。
巾着にアロマキューブを入れます。
2.エッセンシャルオイルを垂らす。
パチュリ、カンファー、ローズウッドのエッセンシャルオイルをウッドキューブの中心に1~2滴ずつ垂らします。
3.巾着の上からよくもむ。
両手で巾着をもみながら、エッセンシャルオイルをウッドキューブ全体になじませます。
4.紐を結んで、完成。
紐を結んで完成。ウッドブロックの量でサイズを調整できるので、使う場所に合わせて作ることができます。
「カンファーのエッセンシャルオイルは揮発性が高いので、香りをタンスの隅々まで届けてくれます。カンファーのエッセンシャルオイルの代わりに、同じく芳香分子が小さく香りを広げてくれるユーカリのエッセンシャルオイルもおすすめです。また、甘い香りのローズウッドの代わりにラベンダーのエッセンシャルオイルなども相性抜群です」
ソラフラワーを使ってクローゼットにも
繊細で形が崩れやすいソラフラワーは、クローゼットに吊り下げて使うのがおすすめです。中が透けるオーガンジーなどの巾着を使えば、インテリアとしても映えます。
エッセンシャルオイルはソラフラワーの真ん中あたりに1~2滴垂らします。
ソラフラワーを巾着に入れて完成です。香りがなくなったら同様にして何度でも使えます。ちょっとしたプレゼントにもおすすめですね。
エッセンシャルオイルを使った手作りの防虫剤はとても簡単にできます。好きな香りのブレンドを楽しみながら、人にも地球にもやさしい衣替えを実践してみませんか?
Profile
アロマセラピスト / 橋本裕子
英国IFA認定アロマセラピスト、JAA認定アロマコーディネーターインストラクター、アットアロマ株式会社認定 アロマ空間コーディネーター。子どものアレルギーのケアをきっかけにアロマの勉強を始め、現在は自宅でアロマサロンを開催するほか、講師としても活躍。テレビなどのメディアでもアロマの魅力を伝えています。
GetNaviがプロデュースするライフスタイルウェブマガジン「@Living」