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プロに学ぶ、組織で生かせるコミュニケーション術【新入社員・若手社員編】
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春はスタートの季節。4月に新社会人になった人も多いことでしょう。そろそろ会社にもなじんできた頃でしょうか。『イラスト&図解 コミュケーション大百科』(かんき出版)等の著書があり、新入社員研修も多く手掛ける研修講師の戸田久実さんに、あらためて新入社員の心得を伺いました。
- 監修
- 戸田 久実
新入社員は、もう「お客様」じゃない
日頃から、新入社員研修を行っている戸田さんは、「学生と社会人は違う。意識を切り替えて」とアドバイスします。
「就活中は、売り手市場もあって、企業側も人材が欲しいため、『よく説明会に来てくれましたね』と笑顔で歓待してくれたかもしれません。でも、社員になったら、こうした待遇を期待してはダメ。お給料をもらう以上、やるべきことを求められます。わからないことがあったら、『教えてください』と言葉と態度で示すことが大切です」(戸田さん)
塾や学校では、わからないことがあると、困った顔をすれば、「何がわからないの?」と先生のほうが声をかけてくれたかもしれません。でも、上司は自分も忙しく、そこまで親切ではありません。
「自分の仕事をスムーズに進めたいなら、自分で情報を取りにいきましょう。『教えてくれなかったから、わからない』も通用しません。わかないことは質問するのも仕事のうち。みんなで一緒に、一つのゴールを目指していることを忘れないでください」(戸田さん)
女性の多い職場は、新人いびりがあるってホント!?
新しい環境でやってしまいがちなのは、警戒するあまり、『ここにいる人たちは、とっつきにくい人かもしれない』など、ネガティブな妄想をしてしまうこと。「自分の思いこみに振り回されないで」と戸田さんは言います。
「たとえば、女性が多い職場の人間関係は面倒くさい、いじめがある、というイメージがありますが、本当にそうでしょうか。男性同士にも嫉妬や足の引っ張り合いはあります。また、『○○さんはミスにうるさい』といった噂に動揺することがあるかもしれませんが、噂を信じるのも“思い込み”です。噂は参考情報のひとつで、事実ではありません。
いろいろな噂があったとしても、大事なのは、事実と思い込みを分けることです。Aさんは厳しく感じたかもしれないけれど、Bさんはそうでもないと思ったなど、その人との相性もあるものです。下手な先入観で相手を見ることで、その人と打ち解けるチャンスを逃してしまうことも。実際に、自分の目で確かめないとわからない、という気持ちで関わっていきましょう」(戸田さん)
世代の違う上司を理解しよう
会社には、さまざまな世代の人たちがいます。新入社員にとって、上司は親と同世代か、それより上の世代かもしれず、ジェネレーションギャップを感じることもあるでしょう。
「会社の中で人間関係を築くには、自分たちの世代の価値観だけで、ものごとを見ないことが大切。上司が昨日と今日とで違うことを言うなど、理不尽だと思うことがあるかもしれません。でも、世の中には理不尽なことも多いもの。トップ層の判断が変われば、言うことが変わることもあります。
段取りの変更を余儀なくされたら、それを責めるのではなく、なぜ、そういう流れになったのか理解しようとするスタンスを持ちましょう。コミュニケーションのうえで、同意はできなくても、理解は必要です。
否定・反発は、コミュニケーションの雲行きをあやしくします。皆さんの意見も聞いてもらえなくなってしまうことも。場合によっては、『変更することはわかりました。恐れ入りますが、なぜ、こうなったか理由を教えていただけますか』と尋ねてもいいでしょう。それが価値観が違ったときのコミュニケーションの第一歩になります」(戸田さん)。
取材・文/海老根祐子
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戸田 久実
アドット・コミュニケーション(株)代表取締役。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会理事。研修講師歴27年。大手民間企業や官公庁などで「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修や公園を実施。対象は、新入社員から管理職、リーダー、女性リーダー、役員まで幅広い。アンガーマネジメントやアサーティブコミュニケーション、アドラー心理学などをベースとした「言葉がけ」に特化したコミュニケーション指導には定評がある。近著に『イラスト&図解 コミュニケーション大百科』(かんき出版)などがある。
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