読書の秋。本を読むと、新しい発想を得られたり、知らない世界をのぞけたりします。または少し頭がよくなったような気になることも。文章を読むと、脳にとってもよさそうですが、実際にどのような効果が期待できるのでしょうか。オランダなどの国際研究グループの報告によると、文字を読むことが脳の力を高めてくれそうだといいます。
Contents 目次
読むことにどんなメリットがある?
読書の秋は、いつもより本を手にとるという人も多いのではないでしょうか。総務省が5年ごとに行っている社会生活基本調査によると、2016年に趣味の読書をした人は38.7%。情報を得る手段が多様化するなかでも、本を読む人が大きく減っているわけではないようです。図書館の利用が広がったり、電子書籍を使ったりと変化もあり、読書は意外と身近になっているのかもしれません。
読書は知識を増やしてくれたり、空想の世界に誘ってくたり、脳に多様な刺激を与えてくれる活動です。そのときに脳にはどんな変化が起きているのでしょうか。オランダの研究グループが、このたび文字を読むことが、脳にどのような影響を与えているのかを研究し、報告しました。
視覚で認識する能力も高める
もともと研究グループが、疑問を抱いたのは、文字を読みとるときに働く脳のエリアが発達してしまうと、そのエリアと関係している顔や家などの物を見分ける脳の働きが邪魔されて悪い影響を受けるのではということでした。しかし、脳の検査を行って調べたところ、そうした脳の働きを邪魔し合うようなことは起こらないことが判明。むしろ文字を読むことで、これまで眠っていた神経のネットワークがリサイクルするように働くことがわかりました。つまり、脳をうまく使い分けるような変化が起きていたのです。
読書は、秘められた脳の力を引き出してくれる可能性もあるよう。久しぶりに本を手にとってみるのもよいかもしれません。
<参考文献>
総務省「平成28年社会生活基本調査の結果」
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/kekka.html
Learning to read recycles visual cortical networks without destruction
https://advances.sciencemag.org/content/5/9/eaax0262
LEARNING TO READ BOOSTS THE VISUAL BRAIN
https://www.mpi.nl/news/learning-read-boosts-visual-brain