世界にはさまざまな博物館があるけれど、ここイタリアではなんと、ソーセージやハムの歴史にまつわる資料が展示される博物館があると聞き、興味津々。早速出かけてきたので、レポートします!
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ボローニャといえば、ソーセージ
イタリア、ボローニャにある「ボローニャ歴史博物館(Museo della Storia di Bologna)に、モルタデッラIGP(保護指定地域表示、以降は省略)がニューエントリーし、その歴史にまつわる資料が展示されることに! モルタデッラとはボローニャで伝統的に生産されている豚肉加工食品で、日本ではボローニャソーセージとして知られています。ミンチにした血の少ない豚の肩肉(ピンク)に脂質の多いのど肉の角切り(白)を混ぜて、塩、こしょう、にんにくなどを加え、牛の膀胱に入れてひもで縛って吊るし85~90度の熱でじっくり(直径1cm核に対して約1時間)加熱して作られます。このようにしてできたピンク色の大きなソーセージは、ハムのように薄切りにしてそのまま食べたり、角切りにして料理に使うなど、イタリア人が愛してやまないハム・ソーセージ類のひとつです。
360年近い歴史を持つモルタデッラ
そんなモルタデッラは、じつは358年の歴史を持つ立派な歴史的産物なのです。その由来については1661年10月24日に当時の枢機卿ファルネーゼが、その製造方法の規約を作ったという記録が残されているとか。この度お披露目されたボローニャ歴物館の新設展示コーナーには、ファルネーゼ枢機卿の宣言に始まる歴史やエピソード、オリジナルレシピ、製造方法についての説明などと共に約15の過去の資料が共に展示されており、訪問者がモルタデッラを360°で知ることができるスペースとなっています。モルタデッラという名前はイタリア語ですり鉢を意味する「モルタイオ(MORTAIO、ラテン語murtatum)」に語源を持つとか、昔はハムの3.5倍、パンの9倍、牛肉や羊肉の6倍もする高級ソーセージだった・・・というような親しみやすい小ネタも満載。
そのデビューには盛大なお披露目セレモニーが
さて、その新設展示コーナーのオープニングセレモニーが、モルタデッラが生まれた日に因んで、去る10月24日に開かれました。セレモニーには世界中から招待客やメディア関係者が訪れたほか、本件のアンバサダーとしてアンナ・ファルキというイタリアの有名女優も招かれ、じつに華やかな幕開けとなりました。
それにしても特に食品専門でもない普通の歴史博物館の展示物としてソーセージが鎮座するというのは、食に対して特別なこだわりのあるイタリアならではのなんともユニークな話。でもこのように食材ひとつひとつに歴史があり、その伝統的な製法や素材のクオリティを大事に守っているからこそ、イタリアには素晴らしい食文化が存在するのでしょう。
ボローニャ博物館
http://www.pinacotecabologna.beniculturali.it/it/palazzo-pepoli-campogrande
モルタデッラソーセージ
https://mortadellabologna.com/
写真・文/田中美貴、ホリ・コミュニケーション