ひとりで過ごすことが好きな人もいるかもしれませんが、ずっとひとりは精神的につらいという面もあります。最近では、孤独でいることは健康にとってもよくないという考え方が強くなっています。このたびなぜ孤独な状況になるかの理由についての分析が報告されました。自分が望まないのに、孤独な状況になってしまうのを避けるための方法を考えるヒントになるかもしれません。
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どうして孤独になってしまう?
「ひとりごはん」「ひとりキャンプ」など、時間を自分の思うままに過ごすことは、ポジティブにとらえられるようにもなっています。一方で、自分が望まないのに孤独になってしまい、そうした状況が人々を苦しめているといわれることもあり、国際的に問題と見なされるようにもなっています。
米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループは「孤独は喫煙や肥満と同じくらいに短命につながる影響を人にもたらす」とし、その解決のために原因を突き止めることは重要と指摘します。人は社会性をもつことが特徴で、人との関係で生きています。ただし、年齢を重ねるごとに個人が置かれている状況やライフスタイルは変わり、孤独になったり、孤立したりすることも。研究グループは、孤独を感じる人はどのような共通点があるのかを調べました。
孤独な人に共通する特徴
分析から判明したのは、孤独を感じている人は共通の特徴があるということです。ひとつは、年齢に関連した喪失感を感じやすい人。たとえば、年を重ねて経験を積めたというよりも、昔できたことができなくなったと悲観することなどが挙げられます。そして特に影響が大きいのは、配偶者や兄弟、友だちの喪失。年をとってから友だちをつくってもなかなか埋め合わせることが難しいこともわかりました。
社会的なスキルが不足していることも影響してくるようです。新しい人間関係をうまくつくれないと、孤独に陥りやすいのです。さらに、人生の目標をなくしてしまうことも影響。生きる望みをなくしてしまうような状況はどうしても人を孤独にしてしまうようです。
研究グループは、こうした状況を防ぐヒントは「思いやり」をもつことだと説明しています。外に出て、他人のために何かをしてあげるのが孤独を防ぐ第一歩になるからです。さらに、年をとることを受け入れて、ひとりでいることを受け入れられるようになること。ひとりでいるからといってもさみしいのではなく、自分ひとりで生きられることを誇りに思うという発想転換をするなど、そうした考え方のスタンスは大事といいます。
「ひょっとして私はひとりぼっち」と考えることのある人は日ごろの生活のなかで参考にしてもよいかもしれません。
<参考文献>
Lonely in a Crowd: Overcoming Loneliness with Acceptance and Wisdom
https://ucsdnews.ucsd.edu/pressrelease/lonely-in-a-crowd-overcoming-loneliness-with-acceptance-and-wisdom
Aging Ment Health. 2020 Jan 10:1-8. doi: 10.1080/13607863.2019.1699022. [Epub ahead of print]
http://dx.doi.org/10.1080/13607863.2019.1699022
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31918561