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リバウンドの原因って? ダイエットを成功させる「やせ体質」の作り方

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リバウンドの原因って? ダイエットを成功させる「やせ体質」の作り方

ムリなダイエットはリバウンドのもと、とはよく言われますが、それはどんなメカニズムなのでしょうか。また、やせやすい体作りのために押さえておきたい基本のポイントとは? 日本ダイエットスペシャリスト協会理事長の永田孝行先生のお話をチェックして、ぜひこれまでのダイエットを振り返ってみて下さい。

監修 : 永田 孝行

日本ダイエットスペシャリスト協会理事長。東京大学大学院医学系研究科に於いて肥満と代謝を研究。生活習慣病予防と改善のための食事療法としてGI値 (グリセミック・インデックス) に着目。実験・研究を重ね、2001年に「低インシュリンダイエット」を提唱する。その関連書籍を含み国内外で62冊出版。健康・保健指導や生活習慣病予防と改善対策における食品の研究開発、健康コンサルタント、および講演活動や雑誌の指導・監修、テレビ、ラジオ、新聞などの取材も多数受けている。

Contents 目次

ムリな糖質制限が、やせにくい体の原因に

ダイエッターを悩ませるリバウンド。一体、どんなしくみで起きるのでしょうか。

「じつは人の体にはセットポイントが備わっていて、もっとも長い間維持していた体重やもっとも体調よく過ごしていた体重にセットアップされています。食事制限や糖質制限によって一時的に体重が減っても、脳はもとに戻そうとする機能を働かせるのです。
食欲を増進させて過食を導き、さらに体温や基礎代謝までも低下させるために、みるみる体重はもとに戻りながら勢い余って逆に体重が増えてしまうことも。これが“リバウンド”です」(永田先生)

リバウンドしてしまい、ダイエットにザセツするのはよくあることで、それほど深刻な問題ではないような気がするのですが…。

「リバウンドの怖さは、短期間ダイエットでは体重は減りますが筋肉組織も減ってしまい、元に戻るときには筋肉量はそのままで体脂肪の増加によって体重が戻ってしまうことです。体脂肪は筋肉より比重が軽いので、かなり大量につかないと元の体重になりません。筋肉が減り体脂肪率が増えることで、さらに太りやすくやせにくい体質へと変化してしまいます」

ダイエットは長期的かつ計画的に行うことが大事

短期間で急にやせようとすることは、体にストレスを与えることにつながります。

「焦らず慌てずダイエットを進めるためには、長く続けられる食生活に毎日ムリなくできるレベルの運動を加えて、習慣にすることが大切です。
ダイエットの食生活は減らさず増やさず。バランスがとれた栄養を心がけましょう。GI値の低い食材を使うことを基本にすれば、1品プラスされてカロリーが多少上がったとしても、ダイエットに有効な食事になります」

GI値とは食後血糖値の上昇度を示すもの。食物繊維の多い食材、酢、乳製品、大豆製品などは低GI食の代表です。そして、食べる順番を正しくすれば、さらに安全なダイエットに。

「野菜・海藻などの繊維質豊富な食品→肉・魚介類などのたんぱく質が多い食品→主食の炭水化物の順で食べきれば、おかずが残らないのでごはんのおかわりを防ぐことができます。最後に食べる炭水化物には海苔・ひじき・わかめ・ゴマなどの低GI食材を乗せたり、卵をかけたりしてもOKです」

ダイエットには時間をかけてとり組むことが、ストレスを感じることなくスリムな体をキープできる一番の近道。焦らず、あわてず、理想の体を手に入れましょう。

早食いはNG! 満腹中枢をしっかり刺激させてやせ体質へ

ダイエット中は誰もがやせやすい体になりたいと思うもの。そんな、やせ体質になるためのキーポイントは、よくかんで食事をすることと、しっかりと眠ること。この2つを習慣にできたら、食欲を抑えてエネルギー消費も促すホルモン「レプチン」が体の中で活発に働いてくれます。

「レプチンは1994年に発見されたペプチドホルモン。脂肪細胞から放出される生理活性物質です。交感神経を刺激してエネルギー消費を促し、肥満を抑制する作用があります。
食事をして血糖値が上昇すると、糖質をとったことが脳に伝えられます。脳内の満腹中枢が刺激を受けて活発に動き出すと、同時に脂肪細胞からレプチンが放出。同じように満腹中枢を刺激して血糖値の上昇を抑えます。この働きによって食欲の抑制につながるのです」

では、一度にたくさんの量を食べれば、レプチンもたくさん放出されるのでしょうか?

「レプチンが働きだす過程には約20~30分かかります。早食いをすると満腹中枢を刺激する前に過食になってしまい、血糖値が必要以上に急上昇することに。それではインスリンの分泌量が増えて、肥満を助長してしまいます。レプチンにはインスリンと同じく抵抗性があり、血中のレプチン濃度が高くなると効きが鈍ってレプチンの作用がなくなってしまいます」

せっかくのレプチンの働きを無効にしないように、早食いやドカ食いの習慣は封印しましょう。また、レプチンは食事だけでなく、睡眠とも深い関係があります。

レプチンと睡眠の関係性

「シカゴ大学やスタンフォード大学の研究によれば、5時間未満の睡眠ではレプチンが極端に減少することがわかっています。もっとも増えやすくなるのは8時間前後で、9時間以上の睡眠ではかえって減少してしまいます」

寝不足でも寝過ぎても有効に作用しないレプチン。やせ体質になるには、8時間の睡眠時間を意識するだけでなく、休日の朝寝坊や夜更かしなど、ふだんの生活習慣を見直してみる必要がありそうです。

「レプチンを活性化させるためには睡眠時間の充実とともに、レプチンの原料であるたんぱく質をしっかりとる必要があります。そして、たんぱく質の代謝を促すために亜鉛、銅、ビタミンA、ビタミンB6も欠かせません」

<積極的にとりたい食品>
牡蠣、ナッツ、レバー、チーズ、大豆製品(納豆・豆腐・豆乳など)
海藻、うなぎ、卵

やせたいと思ったら食事制限をする前に、食事の際にしっかりかんで、よく眠る生活習慣を身につけるところから始めましょう。

文/Masuda Yuka

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