塩分のとり過ぎに警鐘が鳴らされる現代ですが、本来、塩は人間の体には欠かせない存在。「海は生命の起源です。体が欲する塩をとり入れると、感覚が研ぎ澄まされる感覚があります」と話すのは、山口県の油谷島で塩づくりをする塩の匠、井上雄然さん。今回は、雄然さんの百姓庵×スキンケアブランドのCoyoriから生まれた「za you zen 四季の塩」を試してみました。
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海と同じミネラルバランスに
生産者と共創した国産自然素材で日本の四季を届けるスキンケアブランドCoyori。理想の素材を求めて、全国を訪れるなかで出合ったのが、山口県油谷湾の汽水域で生まれた、個性豊かな“四季の塩”でした。汽水域は河川と海流が混じり合う水域のことで、四季折々の豊かな森の恵みが流れ込み、塩も季節によって異なる味わいになるのだそうです。
「海から陸へと上陸した私たちの体は、体内に“太古の海”を抱えています。そのため海と同じようなミネラルバランスに調えてあげることが必要です。私たちは『天地返し』という技法を行い、塩が“海そのもの”になるように手仕事の領域を最大限に広げながら仕上げています」と雄然さん。
こだわりの製法で作られた四季の塩にはそれぞれ特徴があります。ペアリングするとおいしい食材もご紹介しましょう。
春塩…磯の風味豊かでコクのある味わい。
キャベツ、山菜、クレソン、たけのこ、玉ねぎ、いちご、グレープフルーツ、かつお、さわら、はまぐり、あさりなど。
夏塩…梅雨でうま味が凝縮された力強い味わい。
トマト、枝豆、きゅうり、とうもろこし、スイカ、桃、あじ、いわし、昆布、さざえ、牛肉など。
秋塩…甘味・酸味・塩味・苦味・うま味のバランスがとれた味わい。
かぼちゃ、さつまいも、里いも、きのこ、くり、りんご、柿、鮭、さんま、えび、いか、鶏肉など
冬塩…すっきりとした雑味のない味わい。
大根、ブロッコリー、カリフラワー、ほうれん草、伊予柑、さば、ぶり、かき、かに、しじみ、豚肉など
素材の味を活かすおいしい塩
野菜や魚、肉など、焼くだけ、蒸すだけといったシンプルな調理法で素材の味を引き出す塩。
今回試した「冬塩」は粉雪のようにパラパラとしていて、ちょっと口に含んでみると、そのやわらかさが印象的。塩だけでおいしいと感じるなんて初めてです。
一般的な工場生産の塩は、塩化ナトリウムが99.87%を占め、ほかのミネラルの割合が極端に少ないとか。海には約85種類のミネラルが存在し、雄然さんの塩も人間に不可欠な多様なミネラルを含んでいるのだそうです。
冬塩に合うという豚肉にひとつまみふって、グリルで焼いてみました。スッキリとした塩のおいしさが肉のうま味を引き出し、味わいを高めるよう。たしかに、ほかの塩で焼いたときとは違うおいしさが感じられました。
秋塩もやわらかいのですが、うま味があり豊潤。それと比べると、冬塩はすっとしている感じです。季節ごとの違いも楽しめますね。
こちらは生産量が限られますが、2020年12月から『za you zen 四季の塩』の定期コースがスタート。2021年3月には、4種類の塩10gずつの詰め合わせセットが限定1,000個発売になります。試食する際は冬塩から試すとよいそうですよ。
za you zen 四季の塩セット ‒ 雪月風花 ‒
セット内容:春塩、夏塩、秋塩、冬塩の4種 各10g(化粧箱入り)
2021年3月25日より販売。 ※限定1,000セット
3,000円(税抜)
https://www.coyori.com/Page/za_you_zen/philosophy/
文・写真/庄司真紀