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心理カウンセラーがアドバイス! コロナ時代を自分らしく生きるために、今できること ~不安と怒りの処方箋③~

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浜辺で朝日を浴びながらジャンプする人たちのシルエット

新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中が混迷した2020年。これまでにない体験のなかで、日常の生活や人との距離感、心のあり方が変わった人は多いのではないでしょうか。いまだ続くこのコロナ禍を、そして終息したあとを、私たちはどのような気持ちで過ごしたらいいのでしょうか。心穏やかに過ごすためのヒントを心理カウンセラーの大嶋信頼先生に教えていただきました。

監修 : 大嶋信頼 /心理カウンセラー (心理カウンセラー)

心理カウンセラー。米国・私立アスベリー大学心理学部心理学科卒業。アルコール依存症専門病院、周愛利田クリニックに勤務する傍ら東京都精神医学総合研究所の研修生として依存症に関する対応を学ぶ。現在、株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。短期療法のFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発しトラウマのみならず多くの症例を治療している。『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』『「すぐ不安になってしまう」が一瞬で消える方法』(以上、すばる舎)、『無意識さんの力で無敵に生きる』、 (青山ライフ出版)、『「自己肯定感」が低いあなたが変わる方法』(PHP研究所)、『催眠ガール』(清流出版)、『片づけられない自分がいますぐ変わる本』(あさ出版)、『いつも人のことばかり考えて凹んでしまうあなたが「ま、いっか」と思える本』(永岡書店)、『無意識さん、催眠を教えて』(光文社)、『こころのソーシャルディスタンスの守り方』(主婦の友社)など著書多数。

Contents 目次

自分の『快』『不快』がどこにあるか、見極める機会に

両手をてんびんのように広げ、思案している表情の女性

コロナ禍を早く抜け出し、「以前の生活に戻りたい」という気持ちを抱いている人は多いでしょう。しかし、その一方で「コロナ禍以前と同じ日常生活」に戻ることに、不安を感じている人も一定数いると、大嶋先生は言います。

「コロナ禍における自粛生活にみんなが一様に不安やストレスを感じているかというと、じつはそうではありません。もともと人づき合いや会社に行くことが苦手だった人の場合、どうでしょうか。『気持ちがラクになった』『ストレスから解放された』という人も、少なくないのです。世間の『不安』に同調しなくては、という思いから口には出さないけれど、本心はここに当てはまるという人は多いのではないでしょうか」(大嶋先生)

終息を願いながらも、以前のような日常生活や仕事のスタイルは苦痛…。そのような気持ちを抱く人たちが、コロナ禍後の生活でストレスをためないようにするためには、どうすればいいのでしょうか。

「自分の『快』『不快』に従って選択をする感覚を今のうちに磨いておくといいと思います。自粛やソーシャルディスタンスによって生まれた人との距離感で『快』の感覚を得られる人は、これまで他人との距離感が近すぎたのかもしれません。その意識に従って、これからも適度な距離感を保てば、ストレスは減らせるはずです。コロナ禍後も、自宅で仕事をするほうが『快』なら、そういった形態の仕事に転職してもいい。しかし、もし転職は不安で『不快』となれば、その場合、自分にとっての『快』はどちらなのか…。生活が一変した今は、自分にとって『快』『不快』がどこにあるのかを見極めるいい機会でもあると思います。『快』を選び、『不快』を避けて選択していけば、今後の生活の道も開けてくるはずです」

誰もが抱きかねない「優越の錯覚」に気づく

困り顔、無表情、笑顔が描かれた3つのオブジェ

昨今SNSによる他人への誹謗中傷は社会的な問題になっていますが、コロナ禍においても、感染者やその家族、外食や旅行をした著名人に対しての批判的な書き込みも目立ちました。

「このような場合、投稿した本人は誹謗中傷という認識はなく、正義感に駆られて行っているということがほとんどです。その正義感の背景にあるのが、『自分は平均よりすぐれている』と思い込んでしまう『優越の錯覚』です。たとえば、自粛中に外出した人に対しては、『世間のルールを逸脱するなんて、自分より下だ』という思いを抱いてしまいます。それなのに、自分より高給とりだったり人気者だったりすると嫉妬心が生まれ、さらに、『ダメなやつなのに、許せない!』という正義感的な思いを見出してしまうのです」

ほかにも、自粛に応じない飲食店や県外からの来訪者に対し、私的なとり締まりを行う通称「自粛警察」なども話題になりましたが、これらも同じような心理が背景にあるといえるようです。

紙飛行機を飛ばそうとしている女性

SNSが普及し、制限なく情報発信ができるようになった昨今、コロナにまつわること以外でも偏った正義感や嫉妬心をもってしまう人は増えていると大嶋先生。また、誰もが『優越の錯覚』を抱いてしまう可能性があるといいます。

誹謗中傷が起こる仕組みやそこに至る心理を知っておくことは、自分が無意識に人を傷つけてしまうことを抑えるための助けにもなりそうです。

コロナ禍をついネガティブにばかり考えてしまいがちですが、少し見方を変えれば、自分らしさとは何か、自分が好きなことや大切にしたいことは何かといったことに気づける機会なのかもしれません。

自分の「快」「不快」を見極めること、そしてストレスや不安、怒り、嫉妬が生まれる流れや仕組みなどを知っておくことで、自分の気持ちもコントロールしやすくなり、これからの時代を心穏やかに過ごせるようになるのではないでしょうか。

取材・文/柿沼曜子

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